127. 望ましくない上司像
●理想の上司像を描くのは難しい
あまり聞きたくないのだが、上司のことで愚痴や悩みを今も聞くことがあり、先日も後輩からメールを頂いた。
上司も部下も人間であり、性格、人生観も含めていろいろだ。間違いもする。また人によって上司に求めるものは必ずしも同じではない。これから企業に入る新入社員対象の調査では、理想の上司像に野球の星野仙一をあげる人もいれば、古田敦也監督をあげる人、明石家さんまをあげる人もいる(この3人は2006年の新入社員調査でいずれもベスト10に入っている)。
しかし実際の企業をかなり経験した上で、理想の上司像を語るとなるとかなり違った結果が出るのではないかと思う。
●望ましくない上司の「姿」なら挙げられる
理想の上司像を語ることは実際難しい。しかし、こんな上司はいやだと思う例はいくつでも挙げられるのではないか。
私はそう多くの上司に仕えたわけではないが、上司(あるいは直属上司でなくとも会社で自分より上の職位にある人)でこんな人は尊敬できないなと思った場面を列挙してみよう。
以上思いつくままあげてみた。よく見ると、1,2,3,6,8はコミュニケーション能力の問題だ。また1,3,6,9は組織を指示命令観中心に理解していることの現れである。4,10は問題発見、解決能力に係わることだ。
- しょっちゅう頭ごなしで怒る人、または自分の主張を押し付ける人。
- こちらの言い分や意見を聞く耳、姿勢を持たない人。
- 会社上層幹部や他部署の問題のある意見をそのまま受け入れてしまう人。
- 自分のレベルよりはるかに低い見識しか持たない人。
- えこひいきのある人。
- 組織とかルールばかりを言う人やなんでも報告を求める人。
- 自分だけ目立ちたがる人。
- いたずらに会議の多い人。会議で長時間の独演の多い人。
- 仕事の成果を求めるあまり、部下の責任追及を必要以上に行う人。
- 現場へ出かけて本当の問題を見据えることの少ない人。
このように見てくると、比重として高いのは組織内及び組織間のコミュニケーション能力不足を「権力」で補おうという人、そして問題発見および解決の道筋を立てる能力が著しく劣っている人が上司として不適格ということになる。
●真面目で不適格な上司は最悪
そしてさらに深刻なことは、こういうことに該当する人自身は実はまじめでやる気満々という人が多いことだ。自分の至らないことにあまり気がついていないことが多い。真面目だが自分の不適格さに気づいていない上司に仕える部下は一番困っているのだ。そういう人を管理職にし、ろくに教育もしない会社も問題だが。
「で、お前は上司としてどうだったんだ?」
「そういえば私もよく演説をぶったな〜。点数をつければ60点ぐらい???」