120.顧客とのトラブル事例から、うれしい体験
●顧客との“トラブル?”対応
私に今の勤め先(小売業同然)で最近こんなうれしいことがあった。
常々思っている顧客への対応で、売り場と連携して上手くいった話を「記録」しておこうと思う。
売場に鹿児島からお越しの観光客の方が地元名産品の和菓子を3箱買い求められ、それを鹿児島まで宅配して欲しいという申し出であった。売場担当者は、何をどう勘違いしたか分からないが、代金を1箱分しか頂戴せず、後になってそれに気付き、私に相談してきたのである。
お客様の住所は分かっているので、私は次のように指示した。
それはすぐに実行された。
- お客様には、電話ではなく、真摯な手紙を差し出すこと(電話では相手に考えていただく余裕もないため)。
- 手紙の内容は、レシートのコピーを添付し、代金を1個分しか頂いていないことを丁重に説明する。
- しかし販売当時の説明でそれが3個分の代金だと理解されていたのなら、代金は頂かなくても結構ですと申し添えること。
- いずれにしても、このような手紙はあまり心地よいものではないので、お詫びのしるしとして商品を1個余計にお送りすること。
●お客様の反応はこうだった
数日してお客様から丁寧なご返事とともに、3個分の代金が送られてきた。
内容は、自分もよく確かめないで支払を済ませたことの非も詫びられ、送られてきたお菓子がおいしかったこと、来年もまた当地を訪問したいと思っているという文面であった。売場担当者ともどもほっとし、うれしい思いをしたものだった。
さらにこれに後日談がある。
数日前に、さらにお手紙をいただき、同じお菓子をさらに3個送ってほしいというご注文をいただいた。前のお手紙もそうだったが、文面、字体も上品達筆であり、お客様の品位を偲ばせるもので、二度もうれしい思いをさせていただいた。
こうした体験は、仕事以前に人間としてほっとさせられる思いであった。
顧客もいろいろで、このような方ばかりではなく、ここまでしても通じないことも多いであろう。今回は絵に描いたように上手くいったが・・・。
なお、売場担当者は小売業の接客経験が初めてであり、この人には「接客業ではお金はその場限りであり、社内といえどもお金はきちんとその都度双方が確認すること。相手が目の前にいなくなってからどうのこうのは通じない。まして相手が顧客ならなおさらと思いなさい」とは説諭しておいたが・・・。