118.組織、人事否定の会社「メガネ21」

「究極のオープン経営」
自分の住む市にも「メガネ21」の店があることを新聞の折込チラシではじめて知った。その数日前に、ネット上の読み物で「メガネ21」の「究極のオープン経営」についてかなり長い連載記事を読み終えたところであったので、タイミング的にも「おやっ」と思ったのである。

日経BPによる連載記事は今もネット上にあり、連載中でもある。かなり膨大な連載であるが、血も涙もある面白い読み物であり、次のところを見られたい。
http://premium.nikkeibp.co.jp/retail/column/21/01/index.shtml

この会社が取り上げられた理由が冒頭に4つ挙げられている。
  1. 会社に利益を残さない。
    つまり会社に利益を内部留保せず、利益が出た時は顧客及び社員に還元してしまう。事実今もこの会社は大きな内部留保をしていない。
  2. 全社員の評価、賞与まで情報公開
    社内の情報公開度合は半端ではなく、ここまでも公開する。
  3. 売り上げ目標やノルマは一切ない。
    予測は立てるが、それが成績評価に結びつくことはない。
  4. 管理職がいない。
    全社員が販売業務に平等についている。いわば「共同体」的、超フラットな組織である。社長も含めて最高年収1231万円で、社長は最高4年で交代する。
拠って立つ組織観に注目
この会社のホームページ(http://www.two-one.co.jp/a21/an/anidx.html)冒頭にこの会社の組織観の一端が身近な言葉で語られている。
  • 「いいものを安く正直に」商売としては当たり前のことですが、この当たり前を出来なくしているのが会社という組織です。うまくこの上下関係が信頼の元に機能していれば問題ないのですが、だいたいうまく行きません。
  • (中略)
  • 私たち(株)21(トゥーワン)は、会社に忠誠する人間よりも、市場(お客様)に忠誠する組織づくりをめざして会社づくりを行ってきました。
普通の会社組織というものは、どうがんばっても従業員は顧客よりも上司や会社を見るようになっていく。それなら徹底して当事者意識を持たせ、ノルマや組織の上下関係をなくし、徹底した情報公開と円滑なコミュニケーションにより、足かせを解いて顧客の方に目を向けさせ、同時にモチベーションも維持するにはどうしたらよいか、それを追求したらこうなったというものである。

私もある程度同じような組織観を持っているが、ここまでの考えは持ち合わせてはいなかった。ただこの求心力はやはり有能かつ人間のことがよく分かっているリーダーがいてならではのことであると思う。

私はかって社員のフリーエイジェント制や、上司評価制度を元いた会社でまじめに話をして一笑に付された経験があるが、「メガネ21」という会社はその発想をはるかに超えた組織観で、しかも業績を上げているようだ。
いまだ軍隊的組織観の域を出ない流通業でも、“つめの垢を頂いて煎じて飲む”価値のある組織観だ。

とにかく頭をがーんと殴られたように驚いた組織観であった。とにかく一読を!