114.新手の「オレオレ詐欺」
●ホテルが被害者の「オレオレ詐欺」
新手の「オレオレ詐欺」が出現しているという。
ホテル企業が次々と小額だが「振り込め詐欺」に遭っているそうだ。
ホテルのホームページの顧客の声欄からさも最近利用したことのある顧客の書き込みであるように見せかけ、
「店のレストラン利用時に汚れたクロスが自分のスーツを汚していたのを出張を終えてから気づいた。クリーニング代として8000円を弁償してほしい。そのお金を○○へ振り込んでください」
というような趣旨のメールを送ってきたらしい。
そしてこのようなメールに反応し、要求どおり8000円を振り込んだ企業が多かったという。なかには想像だが2000円を加えて1万円ちょうどにして送金したホテルもあったのではないか?
どうしてこんなことになったのであろうか?
●苦情処理担当の“怠慢”
ホテル側苦情処理担当者は多分、
と考えて、安直に要求に応じてしまったと考えられる。
- 要求金額が8000円と少ないこと。
- 事実確認とお詫びに「被害者」宅に伺うにしても、費用と時間を考えれば8000円の弁償要求に応じておいた方が安く済むこと。
- ネット上でそのホテルの悪い評判を言いふらされても困ると考えてしまいがちなこと。
これが発覚したのは、そのうちのあるホテルが「名前も名乗らぬ顧客がこのような要求をしてくるはずがない」と考え、追跡調査したところ新手の「オレオレ詐欺」と分かり、警察に通報して犯人逮捕になったという。
●教訓
顧客が何か要求してきたら、即苦情と思い、とにかくわけも分からず客の言い分をそのまま鵜呑みにしてしまう。
その結果、とにかく早く収束をという態度に終始し、結果的に顧客の文句は収まっても本当の問題は何かが分からないまま事態が収束してしまう。
これでは顧客サービスの本当の向上はない。
顧客が苦情を言ってきても、そのときは本当かどうかは分からないけれども、丁寧に対応する中で、正確な事実を把握して本当の改善につなげるように努めなければならない。
顧客のお名前や住所をきちんとお聞きするのも才覚名事実の把握という大事なプロセスだ。
ポイント: 苦情処理には、顧客の顔を立てつつも、正確な事実の把握というプロセスをいい加減にして、事態の早期収束のみを考えてはいけない。