113.近畿スーパー各社の取組報道(日経)より

日経新聞より
2006年8月24日の日経新聞に、「近畿のスーパー ネット店舗で大手に対抗」という見出しで関西を基盤とする量販店の取り組み動向を伝えていた。

オークワは、実際の店舗風景をネット上に詳細に再現し、品揃えは実際乗ってんぽの品揃えに匹敵する15000品目を扱い、生鮮食品や惣菜などが豊富というのがイトーヨーカ堂などとは大きく異なっている。
午後2時までに注文すれば、当日中に配達するという。

イズミヤは仮想商店街「楽天」に雑貨などを中心とした「アイウイル」を運営している。若者など通常自店顧客とは違った層の顧客層獲得を狙うという。

関西スーパーは電子マネー“Edy”を利用し、毎月顧客を買い物額に応じて5段階に分け、翌月の購入時に割引サービスをするという。いわばFSPのEdy版だ。

平和堂は、店頭商品の売れた分の自動補充システムを稼動させるという。
これで浮いた人手をサービス向上に振り向けるという。

「関西ではイオンなど大手スーパーが出店攻勢をかけている。地元勢が対抗するには、小回りを利かせたユニークなサービスで顧客を引きつけることが不可欠になっている」と結んでいる。

寸評すると・・・
オークワの取り組みは、顧客の店頭買いへの相乗効果も狙った、「クリックアンドモルタル」戦略を意識しているものと見られる。同社は早くから顧客戦略にも取り組んでおり、総合的なCRM(Cutomer Relationship Management)戦略へのシナリオの一環という位置づけを期待したい。

イズミヤの路線は、本業とは別のビジネス開拓という意味合いに受け取れる。これはこれで利益が得られるのならひとつの道だろう。しかし楽天でのネットビジネス顧客と実店舗での顧客は必ずしも一致しないと思われる。それが本体顧客の増加や購買額の増加に繋がらないのであればこの戦略はやや疑問に思える。

関西スーパーはEdyカードを利用してFSP(Frequent Shoppers Program)に取り組もうというようだ。それはそれで間違った方向ではない。問題はこれをCRM戦略に高めていくシナリオがあるかどうかだ。今後を見守る必要がある。

平和堂の取り組みは、受発注システム改善の取り組みだ。この種の自動発注システムはその是非をめぐって業界では昔随分議論された。今は環境も変わり、人件費削減の方に軸足がシフトし、この種のシステム採用に動いたということだろう。

まだアメリカとは10年の遅れ
これら各社の取り組みは、アメリカの流通業レベルから見ればいずれも10年以上前からの取り組み内容である。
大手も含め、日米のシステム発展格差はまだ10年以上あることも現実だ。
ここに大きく力を入れて改革を進めていくことも生き残り戦略の重要事項の一つだ。


コメント: 各社がんばってはいるが、まだこの程度では日米システムやマネジメント格差は縮まってはいない。