106.子会社次世代幹部社員への“檄”
●監査した子会社への手紙
もういいだろう。
在職時の子会社監査にあたって、ある優良会社とされる企業の監査終了後その会社にあてた文書である。適当に伏字を充てている。○○は社名である。
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○○若手社員の皆さんへ
本部の監査というよりも、同じ企業グループ社員で○○を応援したい一人の人間としてお便りさせていただきます。
たった2度ばかりの監査で何が分かるかといえばそれまでですが、その間に何人かの方とお話もさせていただきました。監査を通じて垣間見た印象からの勝手な意見と受け止めて頂いてもかまいません。
今、○○は少し“病んだ”状態にあるように見受けられます。
A社長はじめ創業の苦労をともにされた方(第1世代)がここまで会社を立派にしてこられました。
しかし、XXXX事件、XXX、競争激化、などの環境激変。他方で上場を目指そうという目標。会社全体がややストレスを感じる状況でもあると思います。
(中略)
こういうときにトップがどういう行動を取るかは大きな問題であることはいうまでもありません。
(中略)
今回の監査時に数人の若手社員の方とお話して感じた点は次のことです。
1.○○の今の現状をどう考えているのかを問いたい気分になったこと。
2.会社を良くするために、「一糸乱れず(=金太郎飴)」ではなく、「自分のことばで自分の主張をする」という気持ちでやってほしいと思うこと。
3.そのために第2世代の○○社員がもっと連携を取り、いい意味で上層部を突き上げるぐらいのエネルギーを持ってほしいこと。
なぜ若手ががんばらないといけないのか、それは創業時の方にはどうしても乗り越えられない壁があるからです。
創業を果たした人達の仕事は今も当然評価と尊敬を受けるものです。しかしこの人達には自分で自分の仕事を否定しづらいものです。
それを本当に前向きに否定し、または改革していけるのは第2世代社員しかいないからです。だから第2世代が育たないといけないのです。
もちろん継承すべきものもたくさんありますが、継承だけでは世の中の動きについていけませんし、やがては滅びます。
そのために何をすべきか?
1.志のある若手中心に勉強会グループを作ること(秘密にしないこと)。
もちろん店の方も入っていただければなおいよいです。
2.いろんな幹部や社外の人を呼び、討論会、勉強会を開くこと。
3.出来れば政策提言まで行うこと(=会社を動かす)。
4.メンバー自身は読書、人との接触、インターネットなどの情報源を活用し、勉強で も負けない努力をすること。
会社と敵対してはいけませんが、自主独立を貫き、一目を置かれる集団になって行くことを目指してほしいと思います。
出る杭は打たれるかもしれません。打たれてください。沈滞ムードで上の顔色を見てしか仕事をしない集団よりはるかにましです。
先輩社員の側もそれぐらいの懐の大きさが必要です。
でもやはり人と協力し合うことを最後には学んでください。
本社にいる若手社員の方は、ある意味で期待されている方です。
しかし無難に仕事をこなすだけでは外へ行って通用する人間にはなれません。
その程度なら代わりは社内にいくらでもおられるでしょうし、今の地位も危ないものです。
次世代の○○を支えるのは第2世代社員の皆さんの今以上の努力にかかっています。
がんばってほしいと思います。
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●多くの流通業も似ているのでは?
会社創業のトップは、会社を大きくし、基盤を作っていくのに大きなエネルギーを割いてきた。しかし、異なるマネジメント能力を持った次世代幹部社員養成にはどうしても弱点があった。次世代社員は、トップの意向を慮り、ヤンチャできない。よくあることである。トップもこの問題をよく理解してはいた。
私が代わりに檄を飛ばす羽目になった。
“束になってかかかっていけ!”という趣旨でもある。
流通業の多くはこれに似た状況の会社が多いのではなかろうか?