104.電子マネーシステム導入、大丈夫か?

元いた会社店舗に、2店舗ばかり「EDY端末」器というのが設置されている。
これはプリペイド型電子マネーであり、小売店では顧客は商品購入代金の受け払いに要する時間が節約できるメリットがある。小売店側も同じで、顧客から頂く代金授受につき、つり銭などの受け払いも不要であるというメリットがある。
この決済にカードだけでなく、「お財布携帯」と呼ばれる携帯電話が決済道具に使用可能なことから、携帯電話会社もその普及を熱心に働きかけている。

顧客のメリットをもっと突き詰めると
プリペイドカードというのは、利用する顧客にとって@決済時間が早い、A小銭が不要、といっても事前にまとまった金額を電子マネーのために「前払い」しなくてはならず、これが便利、得をすると感じて広く利用されるためには、
  1. それが利用できる場所と頻度が極めて高い。
  2. それを利用することによって、何か特別な情報やサービスが受けられる。
  3. 紛失盗難時のリスク回避がある程度可能。
という3つの一定条件に達していなければならない。
とすれば、これはある程度「地域システム」としての展望を持っていなければなかなか普及しない。スーパーのレジをすばやく通過できるぐらいのメリットでは前払いの負担を吸収することは難しいと思われる。

にもかかわらず、会社は遠く離れた2店舗に導入して半年以上経過したが、店頭で見ている限り普及が急速に進んでいるとは思えない状況だ。

顧客ニーズとは離れたところでの展開になってはいないか?
先進的な取り組み意欲は買いたい。しかし、不明なことがいくつかある。
  1. このシステムを担うデベロッパー企業がこの地域においてどういうEDY端末普及のシナリオを描いており、その実現性の評価はどうか?
  2. 限られた地域で早く普及をさせるためには、同じ会社の店舗であっても離れた店舗で採用するのでは極めてインパクトが弱い。実験だとしても一定地域の複数店舗に導入すべきであったのになぜ離れた2店舗で実施したのか?
  3. このシステム推進に携帯電話会社が参加しているが、彼らの「お財布携帯」を普及させたいという業界事情先行に振り回されてはいないか?
何事も先進的取り組みは、最初にパワーがかかる。それだけに上記のうち1は特に重要であるが、2、3も含めてその押さえが不十分だと、顧客ニーズ無視、売る側の都合だけが先行しかねない。
こういうところからも「顧客中心」から外れているという指摘を受けないよう、しっかりと軌道修正してもらいたいものだ。