99.スーパーセンター業態の数社店舗を見て

3社のスーパーセンター店舗
昨年私の地元に関東出身のカインズモール、県内にイズミヤのスーパーセンター「イズミヤ堅田店」がオープン、隣接県外の近くにはPLANTのスーパーセンターが何店舗かある。スーパーセンターは、WALMART流のデイスカウントハウスおよびSMの合体業態であり、90年代初め以降日本ではPLANTが本格的に展開開始したとされる。

その特徴は、郊外型立地、1階建店舗、より多くのアイテム数、そしてEDLPとされている。このような業態は「顧客中心主義」とは別の話であるが、消費者の選択肢が増えるという意味ではよいことである。

3店舗を見た印象は、
  • 建物はPLANTが一番お金をかけていない印象。陳列もラック陳列が多く、安く販売している印象が強い。
  • カインズモールはホームセンターや家電館もあり、パワーセンター的構成で、陳列線も低く広さを感じるが、かえって広すぎて疲れる印象。
  • イズミヤ堅田店は売り場面積がスーパーセンターにしては大きくはなく、陳列線も高い。また一番こぎれいだ。
  • 食品価格は、PLANTが一番安価で、ついでカインズモールのベイシヤ、イズミヤ堅田店の順の感じだ(私がいつもよく見る10品目前後の価格の比較でしかなく、厳密なものではない)。

安さには疑問符?
郊外型立地、1階立て店舗、より多くのアイテム数は消費者の目から見てもすぐにその恩恵を享受できるし、うなずけるものがある。しかしEDLPについては、ライバル企業も価格対抗措置を強めており、その特性はあまり明確とは言いがたい印象がある。

商品の安さという意味では、「業務スーパー」は商品の容量が大きなものが多く、単位あたりの安さが印象強い。地元の業務スーパーを覗くと、南米出身者などの外国人労働者家族が多い。彼らは生活費節約のため本当に安い商品を探しているし、よく知っている。
そういう意味では私が見た3社の店舗はナショナルブランド商品が多く、特別に安価な印象をあまり受けない。かろうじてPLANTだけが安さの訴求力が少しあるかなと思う程度だ。

だがそれでもこうしたスーパーセンターは楽しい気分がある。それは食品等の品揃えのよさである。既存立地のGMS型食品売り場はアイテム数が絞り込まれている分、面白みにやや欠けている。私の印象では、今のスーパーセンターは安さよりも品揃えやアイテム数の多さで支持を受けているような気がする。
そういう意味で日本ではまだまだWALMARTのような本格的なスーパーセンターとは言いがたいのではないか?。

日本のスーパーセンター業態はまだまだこれからの業態?
スーパーセンターという業態は顧客識別型CRM戦略を採る企業や店舗とは対極にある。アメリカでは特にWALMARTはロジステイックスを中心に他を引き離せる商品価格を実現し、EDLPを実践してきた。そしてスーパーセンター業態が対抗策としての顧客識別型CRMを加速させた一面がある。
しかし日本では、本当の意味でのスーパーセンターも、顧客識別型CRMもまだ育ってはいない。それが育つとしたら、それは小売業間競争の更なる激化による進化を待つのか、あるいは日本の環境ではもう少し異なる進化が起きるのか、まだ読めない。


ポイント: 今のスーパーセンターはまだ発育途上だ。更なる企業間競争の激化がこの業態とその対極にある顧客識別型CRMを成熟させるのではないか?