83.★お店のなかでの高齢者

量販店の店頭で見ていると、高齢客がどこの店でも明らかに増加している。そして高齢者の動きを見ているといくつかのことに気づく。

1.住宅街の真ん中にある中、小型店
毎日のように、なかには腰掛兼用手押し車などを押して買い物に来る顧客がいる。女性が多い。
  • この人たちは毎日の生活に必要なものだけをマメに購入するが、家族数が多くないため購入金額はさほど多くはなく、一定期間を通しても購入額上位顧客までにはならない。
  • この方たちは、店への外出によって足の衰えを防止し、店で会う親しい人との会話を楽しみ、一種の憩いの場所にしている。
  • この方たちはまたどの店員の愛想がよいか、どこの設備が故障しているか、商品のことなどよく知っている。
この顧客にとってはお店は生活舞台のひとつになっている。店側からすると金額的に上得意というわけには行かないかもしれないが、チラシ商品だけを買っていく顧客とはまったく違う高頻度顧客である。

お店の従業員はできるだけ気楽に声をかけ、万が一転倒したり怪我をしたりしたときのためにお名前や住所などを知っておくことも必要だと思う。時には店の改善点なども聞くのもよいかもしれない。口コミに活用できる顧客でもある。
そういう観点でこういう顧客を見ているだろうか?

2.大型店での光景
(1) 大型店のレストスペースなどで、平日に一人で来店したと思われる高齢者が長時間腰掛けているのをよく見かける。男性がほとんどだ。
  • 家にいるのが所在がないためなのかよくわからない。
  • お店は冷暖房が効いており、人の流れやイベントなど、見るものはある。
  • なかにはお昼になったらパンや弁当を買って食べている人もいる。
こういう方たちには特に何といって働きかけにくい。

(2) 平日の特に午前中、ゲームコーナーでお年寄りの人が一人でゲームをしている光景も目に付く。若年層や子供しか行かないと思っているところへこんな人を見ると最初はちょっとびっくりする。
  • ゲームコーナーはアルバイトの店員しかいないのが普通で、このような客がどれくらいいるのか?、どういう日に多いのか?、どういう立地の店に多いのか?、どういうゲームに人気があるのか?などを把握しているだろうか?
こういう顧客を積極的に顧客にすることはできないだろうか?。「平日午前中70歳以上の方2割引!」などと。

発想の転換を!
過去にも触れたが、今は未曾有のスピードで高齢化が進行している。
2005年には65歳以上の人口は2200万人だが、たった10年後の2015年には3300万人と50%も増える社会を迎える。世の中お年寄りが目立つ社会に変わっていく。量販店の店頭などがお年寄りの「憩いの場」になるのは避けて通れない。そうであるなら、
  • お年寄りを積極的に受け入れるスタンスを確立し、例えば事故対策なども講じておく。
  • お年寄りを商売にうまく活用し、顧客にすることを考える。
  • 高齢者が来店しやすい店、買い物しやすい店にする。そのための「不」は何かを洗い出し、改善していくことだと思う。