79.「苦情・クレーム博覧会」サイト
●サイトの紹介
福井商工会議所が「苦情・クレーム博覧会」というサイトを運営している。サイトは次のところにあり、なかなか面白い。
https://www.kujou906.com/index.asp
内容は、
このサイトは2年前の2003年から開設され、すでに1万件を超える苦情データベースが構築されており、検索しやすい工夫も施されている。このサイトによれば、すでに生産の追いつかないようなヒット商品も生まれているといい、今秋10月13、14日にはこれらを反映した商品の「苦情・クレーム解決博覧会」を開くという。
- 福井商工会議所が一般人(登録必要)から商品やサービスの苦情不満を「買います」として登録を受け付ける。
- 詳しい苦情内容を読むにはさらに来年1月末までの会費1050円を支払って何回でも見ることができる。
- このデータベースを閲覧して、参考になったと思う苦情意見に1票を投じる。投票する人は多分業界関係者がほとんどであろう。
- 一定の集計期間を経た後、票を投じられた人は1票につき100円が支払われる。
- これらの意見を参考にして開発された新商品やサービスは、「解決商品紹介」コーナーで紹介される。
私も早速登録し、ちなみに「レジ」というキーワードで検索してみると439件の苦情意見が寄せられていることが分かった。内容を見ると、例えばスーパーのレジでの価格違いやレジ袋についての苦情、意見もある。
●サイトの発想は秀逸!
このサイトの目的は整理すると、
発想は秀逸だ。
- 顧客の意見を反映した商品作りやサービス改善を仲介して事業者に伝え、商品開発、サービス改善に生かせてもらう。
- 顧客の意見を反映したすばらしい商品ができても、その開発が中小企業者である場合、広告宣伝やPRの力が弱い企業であればそれを紹介して援助する。
- 苦情意見を出す人に対して、それを出すことの喜びを少しでも感じてもらうとともに、逆に実現にどんな問題があるかについても関係者やモニターからコメントをもらえることで勉強もしてもらう。
昔製造業に対して、「顧客に近いのは製造業ではなく我々だ」といって価格決定権に優位を主張した時代があった。しかし苦情を積極的に収集し、自らのサービス改善や商品開発にはもうひとつの感がある。
苦情処理には受身の延長の感が強いし、商品開発にしても小売業にはマーケテイングの思想が弱い。
それはともかく、量販店の顧客問題担当や商品部の方に1050円支払って詳細を覗いてみることをお勧めする。
これを見てふと思いついたのが、本稿の「2.食品スーパーの『売価間違い』」だ。この種の「結果詐欺」について多くの量販店は今もまともな答えを出していない。
ポイント: 苦情をうまく仲介することも社会の必要な機能であることがよく理解できた。但し、量販店の場合、企業に言ってもらちがあかないのでこのサイトに持ち込まれたのだとしたら、さみしいことだ。