66.☆RFIDタグの現状(情報)
●RFIDタグの概要
RFID(Radio Frequency Identification)タグについてはもうかなりの人が知っているはずだ。次世代タグとして用途も広く期待のエースだ。
このタグの技術は必ずしも小売業分野に限られるわけではないが、商品につけられた無線タグによって小売業では例えば次のような用途に効果が期待されているという。、
- 従来の13桁UPC印刷コードに代わり、38桁の情報を細かなICチップに埋め込み、商品に取り付ける。
- 38桁情報は無線で読み書き可能なため、産地、入出荷日時、販売日などの情報を再書き込みして在庫管理、トレーサビリテイー管理になどに使おうという画期的技術である。
●アメリカにおける消費者の期待
- チェックアウトの自動化によるスピードアップ
- 実在庫の動きを正確かつスピーデイーに把握出来ることによるコスト削減(納品や検収などの省力化)
- 製造から販売いにいたるまでの全体のサプライチェーンの効率化(在庫削減やリードタイム短縮など)
- 万引き防止
アメリカで2003年に実施され、2004年の全米小売業協会で発表された消費者調査によると、小売業以外も含めたRFIDの期待効果上位5つは次の通りという。
上記1〜5のうち、我々のタイプの小売業に関係するのは3.ぐらいのものである。この程度のメリットでは力不足の気がするが、いずれもRFIDタグが商品につけたまま家庭利用し、家庭でももののありかや量が把握できる状態実現を想定したもののようである。これらが進むと例えば冷蔵庫の中身情報を小売業などに半自動的に伝達し、自動補充するシステムなども考えられるといわれている。家庭から小売業、メーカーまで一貫したデマンドチェーンシステムが可能になるという。
- 盗難物の早期発見。
- 車の盗難防止能力向上。
- 製品需要減少による消費者の節約。
(家庭に在庫があるにもかかわらず購入してしまうような需要の削減)- 薬処方箋の安全性向上。
- 迅速かつ信頼度の高いリコール。
アメリカではすでにWalmartが2004年4月にメーカーと共同で実証実験を開始し、今年1月から本格展開と聞く。日本でもやがてこの波は訪れるであろうし、すでに実証実験も始まっている。この1月に日経BP社が「日経RFIDテクノロジー」という雑誌を創刊し、関心も少しづつ高まりつつある。
●消費者の利点PRと心配点対策を!
しかしこのような技術に対して消費者の反応は必ずしも歓迎一辺倒というわけではない。アメリカにおける有名な反ロイヤルカード団体CASPIANは早くもこのタグを消費者のプライバシーを侵す「スパイチップ」と呼んで反対し、このタグ導入を決めた小売業やメーカーに対し不買運動を働きかけるなど動きを見せている。この団体はやや極端でヒステリックな一面があるが、それでも消費者の心配事をあるていど代弁している。
日本でも個人情報やプライバシーには神経質になってきている。
RFIDタグ普及に伴う、消費者の利益PR、個人情報保護策について今から準備していく必要がある。
今はまだどうも“技術先行”の嫌いがある。