44.携帯電話事業者自己都合丸出し企画の結果

私は携帯電話事業も所轄していたことがある。
担当者の熱意と努力でビジネスとしては好調で、関西では販売台数は第1位を長く保ってきた。

携帯電話事業者の販売意図
あるとき(2002年ごろだったと思う)、ある会社が携帯電話販売価格を「29歳以下○○円引き」という販売企画が実施された。
販売側の意図としては、若い顧客を取り込みたいというのがありありとうかがえた。若い顧客は携帯電話の使用頻度も高く、携帯電話通信料を多く支払ってくれるありがたい顧客層というのが経験的に分かっている。だからそのような施策が行われたのである。

顧客の反応
果たして売場ではやはり問題が発生した。
次のような反応が発生したのである。
  • 30歳以上のお客様から「なぜ私は高い価格を払わないといけないのか?」という指摘が頻発した。
  • 売場担当者もその商品を購入したいと思ってカウンターにこられる微妙な年齢のお客様に、「失礼ですがお客様は何歳ですか?」と訊ねる必要もでてきた。お客様によっては「なぜそんなことを聞くのか?」といった態度を見せられる方もいた。
  • 自分の子供(29歳以下)の名義で購入して、実際に使うのは中高年の親というケースも散見された。
要するに29歳以下の顧客にだけ安く販売する「大義名分」がないのである。売場ではその都度「携帯電話会社の方針なので・・・」と苦しい言い訳をすることも多い。
実は私も最近この会社の携帯電話を息子名義で購入した。売り場の人の入知恵があってそうしてしまった。そしてこのような方法で購入する人は結構いるという。

その結果、携帯電話会社の意図に反して、実際に携帯電話を使用しているのは、意図した年代のお客様ばかりではなく、私のような中高年もいるということになる。
例えこのような顧客行動がある程度折込済みであったとしても、企業の自分の都合だけが優先していて、お客様無視になったこのような企画は良いわけがない。



ポイント: 企業の勝手な思いだけで顧客に対処すると、反発、裏をかく行動になって現れるもの。