42.アメリカの「顧客満足指標」について
●ACSIについて
アメリカにはこういう情報が公開されている。
アメリカの企業が顧客満足度について、一般顧客からどう評価されているかを第三者の立場から消費者に電話ヒヤリングし、それをまとめて公開するサイトがある。American Customer Satisfaction Index(ACSI)というのがそれであり、1994年からその結果がネット上で公開されている。
対象産業は多岐にわたっており、当然流通業もある。代表的な全米企業の調査発表以外に、年間3万ドル出せば、調査発表企業以外の企業でも自社の顧客満足経済指標の測定評価をしてくれるという。実施主体はミシガン大学ビジネススクール、American Society for Quality (ASQ)という団体が共同で実施している。
流通業は毎年第4四半期に調査され、年明けに概要はインターネット上で公開される。サイトは下記にある。
http://www.theacsi.org/
この調査は、単なる人気投票ではなく、顧客満足を形成するいくつかの要因をモデルとして たて、最終的には経済モデルとして数値化(0〜100)されているという解説がある(調査方法も同ホームページに解説されている)。
直近3年間の第3位までをまとめると下図(後掲、前川作成)のようになる。
●アメリカ社会の情報密度の濃さ
- スーパーマーケット部門ではパブリックス(Publix)がダントツの1位である。この会社は2003年の年商が167億ドルでSM業界5位の大手企業だが、従業員の会社満足度も高い会社としても知られている。
- セーフウエー(Safeway)やクローガー(Kroger)は労働問題に悩みを持ち、2003年度は順位が下ったとの解説がある。
本稿の目的ははアメリカの調査結果を解説することではない。
アメリカ社会が、顧客満足というテーマに大きな関心を持ち、10年も前から理論的見地かも実態調査をしているという事実である。単なるマスコミ的な調査ではなく、学術的見地からこの課題にメスをいれ、その結果を公表することによって企業に更に努力を促そうというように見受けられる。
日本ではこのようなものは私の知る範囲では今のところ存在しない。
アメリカでは更に雑誌FORETUNE社が“Best Companies To Work for”(働くのに良い会社)ランキングなどを毎年発表している(これについては別途触れることにする)。
アメリカ社会の情報密度の濃さに驚く。
ポイント: アメリカのような情報密度の高さが、顧客満足度への関心を高めるのに一役買っている。