36.消費者中心マーケテイングは軍事戦略の歴史に似ている

昔の戦争スタイルからゲリラ戦への進化
アメリカFMI(Food Marketing Institute)の発行するオンライン小冊子「Supermarket Research」2002年(Volume3、Number7)に、「顧客中心マーケテイングへの移行は、軍事戦略の歴史的変化とよく似ている」という面白い記述があった。 少し引用してみよう。
  • 「消費者中心マーケテイングは、トップ購入顧客に合ったマーケテイングミックスを明確化するという深い信念を必要としている。 多くの経営者はまだその信者ではない。 彼らは長年の間マスマーケテイングビジネスをうまくやってきた。
  • 数百年の間、西ヨーロッパ側の軍事戦略は、開かれた戦場で戦闘の間中、互いに相手に向かって大勢の兵隊をまっすぐ行進するというやり方を重点的に用いてきた。 この戦闘スタイルは多くの兵隊資源、戦術的明るさ、敵の動きや武器に迅速に反応することを求められた。
  • 戦略は、広い戦場で敵と交戦しないよう、少ない隠密攻撃集団を使った新しいやり方に代わっていった。 その攻撃集団は、敵が反撃する機会をあまり持たないよう戦略的に大規模な影響力を持って攻撃した。 しかし、その行動が追跡しづらい機敏なゲリラ軍に対する敗北の数十年後、主だったリーダーたちはこれらのターゲット戦略を採用し始めた。
  • 我々は消費者戦場での同様な戦略シフトに直面しているのではないか? 企業は自己の資源をどのように配置すべきか? 明快なトップマネジメントチームのビジョンなしにはロイヤリテイーカード、データウエアーハウスやソフトウエアーの利益は利益となって見えてこないであろう。 企業戦略の変化はビジネスが利益を実現する前に、まず信奉され、容認されなければならない」。
  • ("Consumer Corner, Bariiers to Gaining Value from Loyalty Cards" By Peter Leech, Equilum. Super Market Research, Volume 3 Number 7・January/February 2002より)

●マーケテイング戦略はまだまだ古典的
うまい表現ではないだろうか。
日本でもこれまで流通各社は昔さながらの戦争スタイルからさほど大きく進歩はしていない。 確かにPOSは導入され、受発注もコンピュータで運営されるようにはなっている。 しかし他社との競争戦術は昔の戦争スタイルと変わらず、どこに陣地(出店)を取るか、相手と消耗戦(価格競争、チラシ戦争)で戦うのはほとんど同じではないか?



ポイント: 日本でもまだ小売業の戦争は、「や〜や〜、我こそは・・・」といって戦争している企業が大半であり、古い戦争スタイルが今も行われているのである。 実際の戦争技術の方が進んでいる。