21.部下の上司評価制への期待

20の「人事部の’お客様’」に関連して、管理職の’お客様’は誰か?ということにも触れたい。

●伝統的管理職観
「管理職とは、会社方針にのっとり、自部署の方針、目標や責務を、部下を有効に使って実現していく立場」、というのが優等生的な回答であろう。この答えは伝統的考え方であり、けして今も間違っているわけではない。
しかしこのような回答は、トップダウン的マネジメント観に基づいている。 この考え方では部下は「戦力」、「道具・手段」的な側面でしか見えてこない。
成熟した企業組織ではこのような考え方では組織は活性化しないというのが現代のマネジメント思想の中心になってきている。

新しい考え方では、上司は部下が十分な能力を発揮できる環境整備やモチベーション作りも大きな責任である。 ところがそれを果たしているかどうかの判定は小売業の現状ではそれはあまり行われていないと思われる。

●部下の上司評価制
最近では部下にも上司の通信簿をつけさせる企業があると聞く。 詳しいことは分からないが、もちろん部下の通信簿だけで評価しているわけではないと思われる。 内容はともかく、方向としては正しいと思う。 
問題はいろいろあるのだろう。
  • 曰く、人気取りになる。
  • 曰く、部下の評価能力が一定しない、などなど。
しかし、部下が上司から仕事の指導をどのようにしてもらっているか、部内コミュニケーションのとり方はどうかなどについて一番知りうるのは部下ではないか。
部下による上司マネジメント評価により、上司も日常の仕事の進め方に反省も緊張も生まれるのではないか。
もちろん部下による上司評価が完全なものではない。またそれだけで評価を決めてしまうものでもない。
他方、上司の部下評価でさへぶれているものだ。もともと人の評価に完全はないのだ。

部下にとって評価できる上司とは、
  • 自分との対話の時間を取って指導アドバイス、指揮命令してくれる上司。
  • 仕事をやりやすいような条件整備をしてくれる上司。
  • 自分に課題と問題意識を与えてくれる上司。
  • 仕事への姿勢、勉強への意欲、人間としての徳のある上司
評価項目は沢山あろう。
何よりも真実は、「上司が部下を見るよりも、部下の方が上司をよく観察している」という事実に基づいている。



ポイント: 上司の部下評価、部下の上司評価の相互評価が対話と緊張関係を産む。特に上司は自分の至らなさを部下に教えてもらうことで成長すべし。