20.人事部の「お客様」は誰か?

●人事部若手社員との冗談話
かって人事部の人とこんな冗談話の機会があった。
人事部という組織は、なんとなく近寄りがたい組織で、私も理解が薄く、多くの偏見を持っていると思う。 こんなやり取りがあった。

人事部Aさん: 「人事部は会社の立場と社員の立場と、その時々で重心の置き方に苦労します」

前川: 「へー!人事部って基本的には会社の立場で仕事をする部署だと思っていたよ」(冷やかし)

Aさん: 「そんなことないですよ〜。ただ人によってそのスタンスの差はありますけれど、大体両方の立場を皆それなりに考えていますよ〜」(苦笑い)

●人事部の「顧客」は誰か?
私は、人事部は会社のために、組織や人事を中心に仕事をする部署」という「偏見」があった。 人事部の担当者からこんなことを聞いてびっくりしたものだ。 そしてその後これが気になっていろいろ考えてみた。
  • もし人事部が社員のことも考えねばならないセクションというなら、人事部の’お客様’は社員でもある。
  • 営業部門は売上高でお客様からの「通信簿」をつけてもらえるが、人事部は誰が通信簿をつけるか?
  • 経営者からは常に「人事評価」という形ですべての部署に通信簿がつけられ、人事部とて同じである。
  • 人事部も社員から通信簿をつけるようにしてもらったらいい。 それはどのようにしてやるのか?
  • 難しく考える必要はない。社員が人事部に対して思っていることをアンケートによって回答してもらい、最後は数字評価をしてもらったらいい。同じテストを定期的に実施し、良い方向に向いていれば努力を評価してもらっていると見たらいい。
  • 人事部だけでなく、管理部門はすべて顧客部署からも評価を受ける制度を採用すればいいのではないか。 もちろんこれがすべての評価ではないが。

最高の通信簿は、「社員がこの会社にいてよかった。 他人に誇らしく言える会社だ」という答えを何人の人が言ってくれるか? またそれが年々増加していることが人事部へのひとつの評価ではなかろうか?
これに対して真面目なAさんの意見をまた聞きたくなった。



ポイント: 組織の評価制度がある会社は少ないのではないか。組織の評価の一部は顧客部署が行うことを本気で考えている。