19.「社員の意識が低かった」、M自動車トップの発言
●問題は企業風土が腐っていたこと
欠陥部品で人命をなくす事態まで起こし、国土交通省にもウソの報告を繰り返していた自動車メーカーのトップが逮捕された。
代わって就任した新社長がテレビインタヴューに応え、これまでのことを「社員の意識が低かった」と反省?の弁を述べていた。
しかしこの発言は前後の脈絡が十分テレビに放映されていなかったことを考慮に入れても首を傾げたくなる発言であったと思う。 ことは企業風土が腐っていたことを厳しく問われているのである。
●企業風土はまず経営者の責任領域
企業風土の責任は良くも悪くもまずは経営者の責任である。
このことが原因で経営者層が交代したのであれば、新経営者は内外ともに向かってこれまでのことは経営陣の意識が低かったことのお詫びしなければならない。
「社員の意識が低かった」というような「一億層ざんげ」的なことでは問題の本質が分かっていないのではないかと思われても仕方がない。
M自動車は消費者の厳しい批判にさらされ、自動車の売れ行きも落ちるだろう。
客からいやみを言われ、挙句の果て一番辛い思いをするのは現場の営業マンである。
やがては業績不振から一番にリストラの波にもまれるのも一般社員である。
企業風土の最初は、トップ、そして経営陣の思想、行動、施策などから始まる。上が腐っていて下が健康なことはありえない。
新社長はまず「自分も含めて、経営陣の考え方と行動が間違っていた」と言わなければならない。 話はそれからである。
かってY証券が一大事件を起こして経営陣が交替したとき、新社長が「悪いのは一般社員ではありません。・・・」といって泣いて記者会見したことがあるが、この人の方が”まとも”である。
ポイント: 企業風土の第一責任はトップ及び経営者層にある。