15.アメリカ反ロイヤリテイーカード団体、CASPIANの主張

●CASPIANとその主張、アンチカード
アメリカにロイヤリテイーカードに反対する団体がある。CASPIAN(Consumers Against Supermarket Privacy Invasion and Numbering)という団体がそれだ。
1999年に草の根消費者運動として誕生した。

この団体のホームページによると、彼らの主張は次のようである。
CASPIANの概観(全文)を翻訳すると、
  • CASPIANは、スーパーマーケットの「ロイヤリテイー」カード、あるいは「フリクエントショッパーズカード」と闘うことを目的とする全国的草の根消費者グループであり、消費者のプライバシー侵害を追及し、価格意識の高い購入習慣を支援している。
  • CASPIANは、スーパーマーケットが彼らの顧客を登録、監視することを妥当ではないと感じている全国の消費者の意見を代表している。 我々は、食品のような基本的必需品入手に顧客番号の利用を要求するべきでないと考えている。 我々は、我々の口にするような我々の生活の詳細についての情報はコンピュータデータベースや監視の対象にすべきではないと思っている。 我々は企業が力づくで我々にこれらの悪用を承諾させることを止めさせたい。
  • スーパーマーケットは、顧客カードは顧客に安さ(saivings)の利益をもたらすと主張するけれども、事実は、値引きは昔から行われてきた。 これまでの値引きは彼らが「セール」と呼んでおり、カードに番号登録をしてプライバシーを売り渡すようなことはしてこなかった。 我々はスーパーマーケットが策略を止め、仮面と短剣による監視戦術を停止すること、そして消費者が真に望んでいる低価格、フレンドリーサービス、よい品揃え、および顧客のためになるすべてのことを実行するという基本に返ることを望む。
  • CASPIANのウエブサイトは、全米およびそれ以外の地域にある400以上の店舗とスーパーマーケットチェーンにのぼるカード状況の詳細なリストを特集している。 加えて、CASPIANはフリークエントショッパーズカードに反対する説得的論議と、これらのプログラムが顧客に節約利益をもたらさない証拠を提示してきた。
  • CASPIANは1999年10月にキャサリン アルブレヒト(Katherine Albrecht)により設立された。 それ以来、CASPIANのボランテイアー達は多くの有能なプロフェッショナル達を加え、我々のメンバーはほぼ全米のすべての州で活動家を広げてきた。 我々のウエブサイトは、世界中から訪問を受け、顧客カードを非難し我々の目的を支持するEメールを多くの消費者から受け取っている。 CASPIANの消費者擁護努力は、Kiplinger’s Personal Finance誌、Extra、Boston Globe,シアトルタイムス、NBCニュース、ABCニュース、PBS、および多くのローカルラジオ、テレビ番組で取り上げられてきた。


そしてこのサイトには次のような詳細な調査資料が掲載され、自分たちの主張を裏付けしようとしている。
  • カードを導入した企業の価格が、そうでない企業の価格と比べて本当に安いかどうかの実態調査報告(安くないことの実証努力)
  • 小売業のカード導入実態を団体メンバー等からの報告や、企業へのアンケート調査による公表。
さらには今後小売業に革新をもたらされるであろうRFIDチップについてもジレット社の取組み例をあげ、その利用に立法規制を要求している。 

●企業側のカード戦略、力不足も・・・

これらを見ると、アメリカでもFSPという”マーケテイング戦略的側面”のみが消費者の間に伝わり、CRMの核心である「顧客との関係作り」という側面がなかなか伝わっていないのが実情ではないかと思える。
自分たちに都合のいい顧客に対してだけ割引販売するのがCRMだといわんがばかりである。 
もちろんCASPIANのような、ややヒステリックな団体はどうあっても反対するであろうが、議論の様相がまだまだ低次元であるのは小売企業にも大きな責任がある。
アメリカの小売業もカードはまだまだ「値引きカード」が多い現状を反映しているといえそうだ。



ポイント: 反カード団体の主張からカードに対する心配事を“読む”