9.偽ブランド米販売後始末から
●偽もの販売事後処理の明暗
某大手流通量販店で外国産牛肉を国産牛肉として表示販売した事件があった。
このときこの企業はお客様の自主申告を信じて代金をお返しする策をとった。
結果はどう見ても牛肉を買ったとは思えない客からの返金要求などあり、大混乱していた。 また返金金額は販売金額をはるかに上回る金額になり、その企業の努力は買うとしても、一部の人間のおぞましい姿をまともに見てしまう結果になり、割り切れない気持ちになったものである。
ところが私のいた会社で、偽ブランド米をほぼ半年近く販売してしまうことが起きた。 間違いそのものは自社ではなく、精米出荷業者の過ちであったが、販売店として当社も涼しい顔をしておられる立場ではなかった。
●当社の場合
幸い当社ではポイントカードを発行しており、お客様と購入単品データがセットの情報が本部コンピュータまで流れてくる仕組が稼動していた。 そのため、問題の米を買っていただいた顧客の90%以上を把握していた。
その情報を頼りにお客様宅へ電話、はがき等の手段でお詫びと事情を説明し、お米引換券をお渡しして偽ブランド米を事実上無料にする手段をとった。
お客様の人数は多かったが、作業は非常にスムーズに行って大きな混乱はなかった。
お客様の反応は、
図らずも顧客情報をもっていることが思わぬかたちで生き、お客様にそれをお知らせすることが出来たのは大きいことであった。
- 「事情はよく分かりました。了解しました」という方が大半であった。
- なかには自分が米を買ったのがなぜ分かったのかを執拗に説明を求める方もおられたそうだ。 しかしカードの目的や利用方法などを説明し、納得いただいたという。
- 一部には「御社の誠意はよく分かりました。でももう食べてしまった後であり、それ以上のことは望みません」とおっしゃって改めての引き換え券交付を辞退されたお客様が何人もおられたという。
- カードを出さずに購入されたお客様のことは分からないのでどうなるかと思っていたが、たいした問題は起きなかったという。
そのことでお客様に販売店としての誠意もご理解いただけたことも収穫であった。
お客様の中に、当社の誠意を認めた上で、「もう食べてしまった後でもう一度“ただもらい”は気が進まないから辞退する」というほのぼのとしたお客様がいたことはこんな世の中でほっとした救いになった。
こんなお客様に気に入られる企業になりたいものだ。
後日談で、その引換券とお米の引き換えは98%が完了したが、まだ約2%の方が未了という。 お客様担当部署からそのお客様に連絡を取り、交換を促す手はずと聞いた。
可能な限り完璧を期そうという態度に、同僚社員ながら拍手を送りたい。 これはまた、昔このカード導入を提案し、運営も担当した私個人にとってもうれしいことであった。
ポイント: “自画自賛”・・・?