第29章 極軸のふらつきの撲滅

久しぶりに本題にかえる。

筆者のポンセットマウントはすでに眼視では不満がない程度にはなったが、やはり写真を撮るのには未だに不安がある。それは極軸のわずかなふらつきが未だに残っていることだ。

これまではふらつきがあるようだと、うすうす感じてはいたが、設置する場所のコンクリが荒く凹凸があり、設置するたびにアライメントが狂うこともあって断定には至らなかった。また測定する方法にも今ひとつ自信がなくそのままになっていたこともある。最近、基礎コンクリートを打ち直し、正確にセッチングができ、セッティングの再現性が格段によくなったこともあって、これがはっきりしたわけだ。(北極星を長時間追尾する方法)

すでに述べたが、追尾中ターゲット(北極星)が視野を左に動けば(実際には星は望遠鏡の右にずれている。)これは望遠鏡(正確にはポンセットマウント)の極軸が天の極軸(地軸)の下にあるからだ。上に動けば(実際の星は下へ動いている)同じく極軸が左にずれていることになる。高倍率でこの原理を利用すればポンセットマウントの極軸のふらつきがわかるのだ。これでポンセットの極軸をできるだけ正確に合わせたが完全に止まることはなかった。


実際に測定して見た結果は、(測定間隔は5分)
追尾はじめ;わずか10分で約1’左へずれる。
その後動きは少なくなる(約20”/10分以下のずれ)が、上や左右とやや不規則。
追尾終わり近くになると再び、ズレが大きくなる。
など。
極軸が動いているのは間違いない。しかしなぜ動くのか。疑われるのはレールだ。が、レールはすべてジグを使って切り出しているし。摺り合わせもしている。1つ思い当たるのは摺り合わせのため一度レールを可動フレームから取り外しをしたことだ。これでレールが理論曲線からずれたのかもしれない。
修正する方法は?1つだけ考えられる。つまり、すべてを組み付け(レールと可動フレーム、車輪)た状態、つまり運転状態と全く同じ状態で摺り合わせることだ。しかし実際にはどうすればいいのだろう。摺り合わせ用ジグを作ればよいのだが、ジグの凹面がうまく、簡単にできるだろうか?
思案ばかりで決心するのに随分時間が掛かった。が、ともかくジグを製作しなければ始まらない。凹面は4.5tx25のフラットバーを万力に咥え、叩いて曲げることにした。高さは車輪と同じとし、曲率合わせはレールと現物合わせ。何度か修正を行っていくと、大体合ってくる。その後でレールに光明丹を塗り、摺り合わせ、当たりを確かめサンダーで着色部分を削り、を繰り返し全面がむらなく当たるようにした。細かい凹凸は気にしない。この後砂ズリをすれば自然に合ってくるはずだ。

大レール摺り合わせジグ

ベースへ取り付け

摺り合わせ(砂ズリ)の状態

同様な方法で小レールについても摺り合わせを行った。さて、その成果は?


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