3号機製作記 〜塗装・磨き仕上げ・ナット〜

ナットの加工です。
まずはナットの入る部分の溝を綺麗に加工します。
ラッカーの塗膜や不陸を完全に取り除きます。
ナットへ伝わる弦の振動を効率よくネックに伝える為、きっちり加工します。
このときにヘッドの化粧面を傷つけたりしないようにしっかり養生しておきましょう。
今回使用しているスコッチの紙テープ、こいつなかなかイケてます。

溝にピタッと合えば、次は両サイドの余計な部分を切り落とし、ネックの曲線に合わせて加工します。
これ、綺麗に出来たためしがありません。
この辺でナットはいったん休憩、最後に上側の成型をしようと思います。

さて、次はとうとうブリッジの加工です。
避けては通れぬ棘の路、意を決して取り掛かります!

さて、まだまだ苦手な工程の塗装を始めます。
まずはサンディングシーラーから塗装します。
写真は塗布したあと、工房にて乾燥させているところで、ここで塗装した訳じゃありません。
こんなところで塗装したら埃まみれのシンナージャンキーです。
エアーコンプレッサーにてまず全体に一度塗布したのち、3〜4時間後に再度もう一層塗布しました。
サンディングシーラーは塗装の下地を作る下塗り&中塗り塗料ですが、私はこれ以上の塗装は
クリアラッカーで行います。この前の工程でエポギシでの目止めをしっかりと行っていますので
塗装の乗りもよく、この工程だけでわりと円滑な塗膜面を作ることができたからです。
サンディングシーラー乾燥後、水研ぎ600番、800番、1000番、1500番、2000番と水研ぎして
上塗りのための円滑な下地を作り上げます。
この際に磨き過ぎてしまい下地が出てきた!なんてことにはならないように注意です。
再度サンディングシーラーを塗布するところから再施工すればよいのですが、若干のムラが出る可能性もあります。

私の説明している施工方法は誰に教わったものでもなく、自分が失敗を繰り返してきた中で考えた方法ですので
本来のギター塗装の方法とは全く違うかもしれません(笑
しかしながら、ここまでの下地工程が本当に重要であることは間違いないと思います。
この後のクリアラッカーの上塗りで何かをごまかすことはできません。
ですので上質な仕上がりを作るためには上質な下地が必要である、ということです。
なぜなら・・・またちょいと失敗したからです(苦笑

はい、気落ちしません。
タフですから!

ブリッジの加工〜仕上げへ進む

指板の加工・塗装下地へ戻る

溝加工が終わればその溝に隙間なくフィットするようにナットを加工します。
今回使用するナット材は無漂白のものでヴィンテージの風合いを出そうと思います。
指板側、天神板側、底がすべて綺麗に喰いつくように根気よくすり合わせましょ。

耐水ペーパーの研磨が終われば次はコンパウンドによる研磨作業です。
私はSTEWMACの4段階のコンパウンドで作業しています。
基本は手作業で、ウエスに適量を取り、ひたすら円を描くように磨き続けます。
この際、爪や指輪などを勢いまって塗膜面に擦りつけないように注意しましょ。
はい、何度かやった経験があるのです。
私、おおざっぱなんです・・・
今回はセーフ。
全て磨き終わったらペグなんかをつけちゃいましょう。

ん〜!ギターらしくなりました。

もうワンカット。
ここまできたらもう少し!という気分になります。

わたし、いつもこの段階にくるとついつい次のギターの製作に取り掛かってしまうのです。
なぜなら、ブリッジ作るのが苦手なのと、その部分の塗膜をめくるのがとても怖いからです。
かといって製品化したブリッジ材を使うのはここまで手作りできたのに絶対嫌だし、早く音鳴らしたいし・・・

がんばって進める決意をしたのでした。

サイドの磨きはさらに手間が掛ります。
局面を均一に研磨する為、私は消しゴムを当て木として研磨しています。
カッタウェイの先端やバインディングの角などの鋭角な部分は塗膜が十分ないことが多く、
削り込みに十分な注意が必要です。
光をかざしてムラが見える場合、その先のペーパーへ進んでも当然ながら消える事はありません。
ですのでひと工程ひと工程を丁寧に進めることが大切です。

最終の磨き工程です。
これも耐水ペーパーの400番から2000番まで順に水研ぎします。
重要なのは「丁寧に」ということです。
水に食器用洗剤をほんの数滴たらしたものにペーパーを浸して磨きます。
削りすぎは禁物!しかし表面を円滑にしっかりと。
ころ合いが難しいです。そこは失敗を繰り返してきた私だから判るのです(苦笑
ほんと不器用だなぁ〜と人ごとのように思います。

上記の磨き作業で綺麗な下地ができればクリアラッカー塗装へ移ります。
サンディングシーラー塗布から1週間が経っています。
この塗装工程は2日間、1日2回のラッカー塗布作業となります。
計4回仕上げ塗装しています。
最良な塗膜厚はわかりませんが、しっかり磨く自分ではこれくらいがベストかと。
私はスプレーガンさばきがへたくそなのでよく塗料が垂れちゃいますが、そうならないように注意しましょう。
根気よく、焦らず、眠らず、防毒マスクをしっかり装着して塗装しましょう!