コラム

社員の化学日記 −第58話 「宇宙の親が見つかった?」−

平成25年4月,新聞各紙には「暗黒物質」の記事がわんさかと載っています。

ので,この「暗黒物質」という言葉は皆さんも目にしたことがあると思います, しかし具体的にどんなものかということは誰も知らないのですが,それもそのはず何か分からないものなのです。

第10話「生命と水」項で,ビッグバン → 宇宙誕生 → 陽子,中性子の出現 → 原子核形成 → 元素生成。と触れましたが 既知の元素からできている我々が知っている物質は宇宙全体のおおよそ5%しかなく,残りの95%は正体不明の物質だということが最新の研究で分かってきました。 即ち,身の回りにある既知物質の19倍もの知らない物質?がこの宇宙に存在していると考えられています。

この正体不明のもののうち約27%が暗黒物質,これは光や電波を発しなくほかの物質とも(ほとんど)反応しないので存在が分かりにくいものなのですが, 銀河や銀河団がどうしてできたかということやその観測で理解不能な現象が起こりこれを説明するために考えられた事柄です。

残りは「暗黒エネルギー」で暗黒物質とは別のものといわれています。

「こんな訳の分からんものがどうやって分かったんや」と思われそうですが, これは暗黒物質同士が衝突したときに出来る陽電子が観測されたことによります。 しかしこの陽電子は他の天文現象(例えば超新星爆発)でも発生するらしく,更なる観測結果が待たれるところです。

こういう風潮はごく当たり前で,500年程前,コペルニクスは,当時信じられていた天動説(地球は制止していて太陽が動いている説)を覆す地動説(地球やその他の惑星が太陽の周りを回っている)を考え付きましたが世間の動揺を恐れて発表を控えた時期もありました。

又ガリレオが地動説を唱えたことで,でたらめを言って世間を騒がした罰で無期懲役の判決を受けたことはかなり有名ですよね。(ガリレオがキリスト教というものを誰よりもよく知っていたため神父の妬みを買ったという説もあり,世界のキリスト教信者の中には今でも認めない人もいるようです)。

現代では,今信じられている事柄を覆す人々を異端児扱いすることは少なくそれによって科学の発展が阻害されることもないため,未知の物事が次々と明らかにされるいい時代だと言えるでしょう。

我々が住んでいる地球もこの暗黒物質があるおかげらしいし,地球や宇宙がどうしてできたのかというような謎が少しずつ分かってくることにうれしさを感じ,このような記事を心待ちにしている毎日です。

[参考記事:朝日新聞,産経新聞,毎日新聞の各大阪版]

【今田 美喜男】

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