コラム

社員の化学日記 −第4話 「今となっては思い出・・・?」−

近年,小中学校では,理科実験が私の時代と比べて少なくなっていることをよく耳にします。ひとつには授業内容の縮小や,ゆとり教育(近年でこそ脱ゆとり教育の動きもありますが)のための授業時間の減少,あるいは理科の実験を実施できる先生が少ないことなどが挙げられますが。最近でこそ,米原でんじろう先生に習って,街中で科学実験を開催するあるいは体験する施設や催し物などが目に付くようになってきました。私自身も理科の実験はかなり好きなほうで,その延長線上に今の仕事があるのだと思いますが・・・。

では,皆さんは「化学(科学)って好きですか?それとも嫌いですか?」って質問すると,まだ多くの人がおそらく「嫌い」あるいは「どちらかというと嫌い」と返事が帰ってくるのだろうと思います。逆に「皆さんにとって好きなこととは何ですか?」と質問するとほとんどの人が「興味のあること」あるいは,趣味をもたれている方はその趣味の内容となることと思います。私もやはり同様ですが,化学屋としての仕事上「化学」=「興味のあること」となってしまうわけです。

では,私が始めて化学に興味を持ったこととはとなると,小学生のころの理科実験で酸性・アルカリ性の実験があったのですが,私の年代では「紫キャベツの煮汁を検出液として身近にあるものの酸性やアルカリ性をはかってみよう」なんて教科書に記されていたと思います。私の実家は産業廃棄物の収集運搬ならびに中間処理業を営んでおり,作業場ではpH試験紙(色の変化によって酸性・アルカリ性の度合いを測る試験紙)が使われていました。そこで,それを使って身近にあるもので酸性・アルカリ性を測ってみようと思ったのです。(かなりあいまいな記憶ですが…。)

で「身近にあるもの…」ってふと考えたのが,調味料だったことを記憶しています。今から考えればなぜ調味料だったのか,かなり不思議なのですが・・・。では,何を測ったのかといえば,お酢,みりん,しょうゆ,マヨネーズ,ケチャップ,ウスターソース…。お酢はわかるが,なぜしょうゆやソースだったかは覚えていません。しかもしょうゆやソースは色が濃すぎてpH試験紙では測れなかったことは覚えています。

ただ,皆さんもそうだと思いますが,どんな小さな発見でも新たな発見をするには,必ずはじめに「好奇心」と次に「向上心」があると思います。昔からの趣味をお持ちの方も,これから趣味を持とうと考えておられる方も,この2の「心」をいつまでも持ち続けてほしいものですね。

【吉田征樹】

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