コラム

社員の化学日記 −第153話 「なんだか野菜が美味しくないよ」−

コロナ禍で、自炊が本格化してきた。緊急事態宣言等の影響もあって、外食を行わないことが普通になってきた。

料理は、そんなに得意なわけじゃない。ほとんどわからない。 自炊をするようなったが、肉や野菜を焼くもしくは煮るだけだ。それでも、適当に調味料を使えば食べられる状態にはなってくれていた。

しかし、最近同じように調理を行っても野菜が美味しくない、調理の仕方は変わっていないはずなのになぜだろうと疑問に思った。 まず思い浮かんだのが農薬の影響だ。正直野菜をほぼ洗うことなく使用していたので、とりあえず洗浄はするようになった。 しかし、味はおかしいままだった。

本当のところは、コロナ禍で流通が変わり、今までとは異なる産地の野菜に切り替わったことが原因だと思われる。

ただ、まずい食事をとることがきっかけで食品についてよく調べるようになった。日本の食品は決して安全とは言い切ることができるようには思えなくなった。 他国で野菜を洗剤で洗っているのをニュースか何かで見たが、それはやりすぎだろう思っていたのだが、日本の野菜等でも本当はそれぐらい行っても良いように感じた。 現に食器洗い用の洗剤に、野菜洗い可と記載されている商品もある。今まで、知らなかった。

農薬は石油由来のものが多い為、重曹などのアルカリ性の水溶液に食品を15分ほど浸しておくと、残留農薬を取り除けるようだ。 油系の農薬に対して界面活性剤の役割を重曹が果たし農薬を野菜から離れやすくなるためであろう。 また、農薬除去にはお酢入れた水に浸したり、塩もみを行うこともあるようだ。 酸性の農薬に酸性のお酢はあまり意味が無いのではと思ったのだが、お酢には油の分子を分散させる効果があるらしい。 油分同士の結合を阻害するため食品から農薬が剥がれ落ちやすくなるのだろう。 またお酢は塩もみ同様、浸透圧の作用で、野菜等の水分を外部へ排出することで、汚染を取り除くが期待できると思われる。

結局、野菜は、美味しくないままだけど、別の発見があったのは収穫だった。今度は、料理そのものを、上手になろうと思う。

【白色林檎(ペンネーム)】

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