コラム

社員の化学日記 −第136話 「大きいものや強いもの猛烈なものからコンパクトサイズなものまで様々ですが」−

今年もあと残すところ2ヵ月になりましたね。毎年段々と1年が早く感じるようになりました。 (それだけ歳をとってるわけですが・・・)

今回の記事は前回に自転車をはじめた私が果たして痩せることは出来たのかを実際の体重変化からお話しようと考えていたのですが,あちらこちらで台風の被害が出ました,そちらのお話を中心に記事を書かせていただきました。

先日の15号,今回の19号と関東甲信越をはじめ東北,東海と大きな被害が出ましたが,被害に遭われた方にはお見舞い申し上げると共に, お亡くなりになられたかたのご冥福をお祈り致します。

今年の10月からの主要な保険会社の火災保険料の値上げもされて,ますます防災や減災に気を付けねばと思っております

気象庁も今回の19号台風は 「相当に危険な台風なので最大級に警戒してください」 と接近前から呼び掛けていたため,広く皆さんに警戒の認識が広がったことで, 避難等の事前の準備や心構えがしやすかったのではないでしょうか。それでも想定以上の大雨だったとは思いますが。

ただ実際の避難についてや特別警報の発表・解除タイミングなどは賛否両論ありますのでここでは触れません。

では何がそんなに危険な台風だったのか。 沢山の気象予報士や気象庁の会見などでも解説されていますので,ここでは大雑把に ヽぬ眠硬戮夏に温められたままになっていて勢力が衰え難い。 台風通過時,日本近海からジェット気流に乗って一気に駆け抜けていくため,台風の進行方向右側の危険半円と言われる地域は猛烈な風になる。 B翩が東京湾の西側を北東方向に通過したことで南から湿った空気がぶつかる越後山脈,日本アルプス,関東山地,奥羽山脈などで大雨になる。 と予報されており,実際に予想されたことがそのまま起こってしまった台風でしたね。

では風については。 実は台風通過前後からちょうど台風がほぼ真上を通過した八王子市や西東京市在住の友人と話していて, 「風自体は前回の15号の方が凄かったですよ」 と興味のある話が。。。どういうこと???

さて,地表付近の空気は気圧の高いところから低いところへ流れることで風となり,そこへ地球の自転によるコリオリの力が働いて北半球の低圧部では反時計回りの渦になるのは高校物理や中学理科で習いますよね。

では風の強さについてはどうなのか?

風の強さは水の流れと同じで,流れる高低差(気圧差)が大きいほど強くなります。

では前回の15号と今回の19号ではどのような違いがあったのか。

今回は気象庁で観測されているアメダスの観測データより,台風通過時の中心に近い2地点の気圧から1kmあたりの水平方向の気圧差(気圧勾配や気圧傾度といいます)を求めてみるとその違いがはっきり分かります。

ちなみに本来台風は中心に近づくほど気圧勾配が大きくなるため,一次関数的な直線とはなりません。そのため2地点間の距離が長ければ気圧勾配が小さくなりますが,そこは傾向ということで許してください。

2地点間の距離ですが今回はYahooのルートナビの直線間距離を使って求めております。

まず今回の19号ですが,2019/10/12 21:10での東京-千葉間(38.3km)の観測データで気圧差 7.2hPa

上陸直後の19:00の静岡県網代-横浜間(67.4km)で気圧差19.8hPa

前回の15号は2019/9/9 4:50の千葉-横浜間(46.2km)で気圧差25.4hPa

これらから気圧勾配を計算すると,19号は東京-千葉で0.18hPa/km,上陸直後の網代-横浜で0.29hPa/kmなのに対して15号は0.55hPa/km

それだけ15号の気圧勾配が大きかったことがわかります。その違いが15号で千葉県の暴風による被害を大きくさせた原因の1つでもあり,今回の19号で風は前回の15号ほど強くなかったと話してくれた東京在住の友人の感想なんですね。

ではその0.50hPa/kmがどれ程のものなのかを昨年大阪で甚大な被害をもたらした平成30年の台風21号と,何かと比較される伊勢湾台風とで比較してみると, 平成30年台風21号(2018/9/4 13:50神戸-洲本間の観測データ)で0.37hPa/km

伊勢湾台風はデータが古いため上陸当日の中心気圧920hPaと980hPaの等圧線の凡その距離(170km)から求めて0.34hPa/kmですが,おそらく中心付近はもっと大きいと思われます。

※1992年までは気圧の単位がミリバール(mb)を使用してましたが,気象庁HPの伊勢湾台風の気圧データがヘクトパスカル(hPa)で表示されておりましたので,そのまま使用しました。

と比較しても15号の気圧勾配がいかに大きかったがわかります。

つまり,台風への警戒に関して大きい台風や強い台風と聞けば,暴風や大雨が長く続くことが予測できるため,皆さんしっかりとした警戒がしやすいのですが,大きさがコンパクトな台風や強さ表記の無い台風であっても,この気圧勾配が大きい台風は特に風に対しての警戒をしっかりする必要があるんですね。

今回は特に風にスポットを当ててお話させていただきましたが,今回の19号のように雨に対しての警戒する必要もありますし,また風についてはその土地の地形や建物等も影響致しますので,一般的なお話としてさせていただきました。

まだ今後もこういった危険な台風の発生はあるかと思いますが,大きな被害がでないことを切に願うところです。

ではまた次回。

【からくり長屋の錬金術師(ペンネーム)】

次のコラムへ>>

<<前のコラムへ

▲このページのtopへ