コラム

社員の化学日記 −第135話 「穴」−

ここしばらく「穴」に悩まされる日々が続いた。

昨年11月の会社の健康診断の大腸がん検査で「陽性」の検査結果が出ていた。 当然,健診の結果としては次のステップに進むよう指示が出た。

「次のステップ」とは・・・そう,総合病院の消化器内科で内視鏡検査を受けよ,ということである。

今までの検査ではいつも「陰性」であったので,気にもかけておらず,当然内視鏡検査も初めてのこと。 社内で経験済みの同僚や先輩に話を聞くと,共通しているのは上部消化管内視鏡(いわゆる胃カメラ)に比べて検査そのものは大したことはないが,大変なのはその前の下剤と洗浄液による腸管内の洗浄。 ウ○コまみれの大腸に内視鏡を入れても検査できるわけないので当たり前の話だが,前日就寝前から下剤を飲んで,当日は2L程度の腸管洗浄薬を溶かした液体を定められた時間内に飲む。 当然ながらトイレも近くなるので,病院によってはその専用待機室(?)があるところも。

元来,お腹を下しやすく,ビビりの自分はこのような話を聞くと怖気づいてしまう。

そこからしばらく悩み続けたが,"一家の大黒柱である,「稼ぎ手」がいなくなるのは困る"という家族愛だか,金銭欲だかよくわからない,家族の強い要望もあって,結局この夏一大決心し,会社に1日休みをもらって検査を受けることにした。

結果,心配していた洗浄液もお腹を下しやすいのが功を奏したのか,半分の1Lほどで終了し,検査前直前に鎮静剤を投与されて夢うつつの間に検査は終了。

医師の診察結果も異常なしとのことで,ハッピーエンド。

実はこのドタバタ劇,一大決心に至るにはもう一つの「穴」にかかわる話があった。

まだ内視鏡検査を決心する前,視力が落ちてきていたので眼鏡を作ろうと近所の眼科を受診した。 すると,左目の網膜に「穴」が開いており,放置しておくと網膜剥離を引き起こす可能性があるとのこと。 そうなると,外科手術の必要が出てくるが,今なら穴の周辺をレーザーで焼くことによって網膜剥離を防止できるとの医師の説明。

"みんなやってるよ"と言わんばかりにポップに説明されたが,こちらは初体験。 網膜=眼底をレーザーで焼く・・・。 想像もできない手術をネット検索して調べてみたものの,よく出てくるのは白内障などの外科手術ばかりでビビり症の自分にとっては逆効果。

でも実際受けてみると,目の中に何か補助具を挿入するわけでもなく,眼球に専用レンズをあてるだけで,レーザーを照射した瞬間はまぶしいが痛みもほとんどなく,処置自体は数分程度で終了した。

思いがけず眼底にできていた「穴」を塞いだところで,今度は生まれた時からある(お尻の)「穴」も見せてやろうじゃないか,と開き直ることができたのかもしれない。

【道修町博士(ペンネーム)】

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