コラム

社員の化学日記 −第118話 「無題」−

先日,西日本で今年初めての黄砂が確認されたとテレビで放送されているのを見ました。 その後で車を運転したときに,フロントガラスに砂が溜まっていましたが,あれは黄砂だったのかもしれません。

最近話題になることが多くなってきているので,黄砂というのは,最近起こり始めたものだと思っていましたが,調べてみるとずっと昔から観測されていました。 中国では,紀元前1150年頃に歴史書の中に「塵雨」という言葉が記載されており,日本では本朝年代紀に,文明9年(1477年)に北国に紅雪が降ったとの記載があるそうです。

気象庁によると,黄砂現象とは,「東アジアの砂漠域(ゴビ砂漠、タクラマカン砂漠など)や黄土地帯から強風により吹き上げられた多量の砂塵が上空の風に運ばれて, 浮遊しつつ降下するために視程が低下する現象」とされています。

日本に飛来してくる黄砂の成分は,土壌によるもの(石英,長石,雲母,緑泥石,カオリナイト,方解石など)だけでなく,アンモニウムイオン,硫酸イオン,硝酸イオンなども検出されており,飛来中に大気汚染物質を取り込んだと考えられています。 日本で観測される黄砂の大きさは,4μメーター付近のものが多く,非常に小さいため気管や肺の中に入って,アレルギー症状を引き起こすことがあります。 黄砂に付着している,ごみやダニ,ほこりなどが原因であるとされています。

黄砂を吸い込まない様にするには,マスクを使うことになりますが,花粉症用のものでは通り抜けてしまうため,PM2.5対応のものが必要になります。 いろいろな商品が販売されていますが,その中に,フタロシアニンという人工酵素を使用しているものがあります。黄砂等の侵入を防ぐだけではなく,消臭,雑菌の繁殖の抑制,アレルゲンの吸着,硫黄酸化物・窒素酸化物を吸着・防御する等の効果もあるそうです。

【三津和次郎(ペンネーム)】

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