1日目
トリコ峠越え、途中でコース替え

コース;シャモニー⇒レ・ズーシュ(les Houches)⇒ベルビュー(Bellevue)→ビオナセの吊橋→トリコ峠(Col de Tricot)への途中で中止→吊橋に戻る→ビオナセイ(Mionnassay)トレッセ(Tresse)⇒レ・コンタミン(les Contamines)


出発の前日、簡単な説明会があるというので、サン・ミシェル教会(Eglise St. Michel)の横にあるガイド組合のオフィースに行った。中庭で女性のガイドを囲んで自己紹介。メンバーは私達夫婦、イギリス人の夫婦、スイス人の夫婦とその息子(青年)、ベルギー人の男性とフランスの女性の合計9人。スイス人の夫婦は私達同様リタイヤー組だが、他は中年までの若い人達。ミニバスの運転手はギリシャ出身の青年。ガイドはフランス語とドイツ語と英語を話し、相手によって言葉を変えるトリリンガル。


朝、シャモニーのガイド組合前に集まり、昼食とスナックをもらいザックに詰め、ミニバスで南に向かう。ガイドは今日は雷雨の予報がでているので状況を見ながら歩くと言う、しかし一部雲が出ているものの悪くない天気。
レ・ズーシュでゴンドラに乗りベルビューで降りる。モンブラン登攀者の足となるニーデーグル登山鉄道の線路をまたぎ、ハイキング開始。先ず左手のビオナセイの氷河から流れでている川まで下りる。
ビオナセイの氷河の末端と谷と川

地図を見ると、このコースはツ−ル・ド・モンブラン(TMB)のバリエーショントレイルになっている。
下ると、大きな吊橋があり、揺れながら渡る。

ここから登りになる。ガイドは登りでも結構早い。Mieは何とか付いている。左手にビオナセイの氷河が大分見え始めたころ、突然雲が湧き大粒の雨が降り出した。急いで雨具を着る。これから行くトリコ峠の上が黒い雲で覆われ、その向うで稲妻がビカビカ光だし、雷鳴がとどろく。歩く速さが早くなったようで、Mieが遅れがち。
ビオナセイ氷河、引き返す途中で
突然ガイドがトリコ峠を越えるのを止めるという。強い雷雨とMieの遅い足では、トリコ峠の下りが危ないと言う。Mieは歩くのは早くないが持久力はあるんだがと言いたいが、意見を聞くような顔をしていない。皆不満だが従うしかない。

吊橋の手前まで戻ってきて、そこから左に入る。下りの林の道で山を巻くように歩く。Mieは下りは問題なく付いて行く。ガイドの下りの歩きは決して早くない。登りも下りも同じような速さで歩くようだ。雷が時々鳴り、雨は降ったりやんだり。

ちょうど雨が止んだところを見計らって昼食。ザックに入れてきた昼食は弁当形式ではなく、朝もらって各自運んできたものを一箇所にバーッと広げ、好きなものをとって食べる持ち寄りランチ形式。食べだしたら話し声が無くなる弁当よりも、賑やかで楽しい感じだ。彼らはピクニックランチと言っていたが昼食はこの後全てこの方法だった。毎回違ったメニューになるよう工夫しているようで飽きることもなかった。

吊橋からの下りはどこを歩いたか良く分からなかったが、後から地図を見ると、ビオナセイの村の近くに出て、本来のTMBのトレイルを歩いたようだ。このTMBのトレイルは雨降りのせいもあってか単調で、やはりトリコ峠越えのバリエーショントレイルを歩かないと面白味はないといった感じです。

暫く歩くとミニバスが待っていてくれて、今日の宿泊地レ・コンタミンの小さなホテルに着く。

着くと同時に猛烈な雨と強烈な雷の音と台風のような強風が2時間以上も続き、なんとまあアルプスの雷は凄いんだとびっくりさせられた。トリコ峠越えを止めたのは正解だったようです。この日、スイスでは農作物などに大きな被害が出たとのことでした。

夕食は野菜サラダとグラタンにハム類それにビールと赤ワイン。夕食が終わるまでに2時間以上はたっぷりとかかった。ヨーロッパの人の夕食にかける時間は長い、というのを見聞きしていたので、これに耐えられるか不安だったが、山仲間ということだろう、話の中に入れてもらい、あくびをすることもなく座っていられた。食後に出た甘いリキュールがうまいと言うと、皆一生懸命説明してくれる。これはアプリコットから造ったものだ、ブランディーと同じ作り方だ、アルコールは40度ある、ヨーロッパには沢山の食後酒がある、日本へお土産にどうだ、などなど。

酒は参加費に含まれていない。割り勘にするのが煩わしいので、毎夕輪番で払うことに自然に決まった。

明日のMieの歩きについて、ガイドが同行を拒否するのではないかと心配したが、何も無かった。登りさえ付いて行ければ問題ないはずなので、Mieのザックの中の荷物を最小限度にし、水と食料は私が持つことにした。


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