1日目
 ソルボア・ゴンドラ駅からプティ・モンテ小屋
 (Sorebois Station to Cab. du Petit Mountet)


このコースはジナル(Zinal)の村からゴンドラに乗り2438mのソルボア(Sorebois)駅まで上った後、山腹をトラバースしながら南に向かってプティ・モンテ小屋まで歩くもので、絶えず左手にジナルの谷を見下ろし、前方にヴァイスホルン(Weisshorn 4506m)やツィナールロートホルン(Zinalrothorn 4221m)やベッソ(Besso 3678m)の山を眺めながら歩く見晴らしの良いトレイルです。終盤近くにはマッターホルンも正面に見えだします。
トレイルの殆どは草つきの緑の中を歩きますが、途中、崩落した急斜面のガレ場を長い距離横切るので、緊張無しにという訳にはいきませんでした。
緑色の線はゴンドラ、
黄色の線は歩いてきたトレイル
手前下がプティ・モンテ小屋
村はジナル
グラン・モンテ小屋へのトレイルから見る
ソルボアのスタート地点にプティ・モンテ小屋まで2時間半と表示してありましたが、3日分の昼食と小屋泊まりのちょっとした荷物を持っていたせいもあってか、私達の足ではとてもこの時間では歩けませんでした。
プティ・モンテ小屋からジナルの村に戻る場合は1時間20分ほど余分にみれば良いと思います。


コース;
Sorebois Station -(15min)トラック道と分かれる -(1h20min)ガレ場-(50min)牧草地を仕切る扉-(30min)Petit Mountet表示 -(55min)Petit Mountet小屋
[合計時間;3h50min  標高差 登り;143m 下り;439m  最高標高;2581m] 



グリメンツ(Grimentz)のホテルにスーツケースを預け、山の装備だけを担いで山小屋3泊、ホテル2泊、全部で6日の山歩きに出発した。今日はその初日。グリメンツからバスでジナルの村に着き、ゴンドラに乗った。ここのゴンドラは、スイス鉄道のハーフ・フェア・カード(半額料金パス)適応が利きません。
ゴンドラに乗っている途中で、左手にマッターホルンが少しの間顔を出します。

ソルボアの頂上駅に下りると、殆どの客はソルボア峠に向けて登りだしましたが、私達は標識に従い左手の広い砂利道を南に歩き出します。正面に4千メートルの氷河の山が並んでいます。暫く進むと、砂利道はジナルの村に向かい、子供連れの家族が賑やかに歩いて行きました。私達は分かれて右の細い道に入ります。ちょうど二つ耳のベッソの山をめがけるように進みます。このあたりは高低差も少なく周りに高山植物の花が見られるようになり、気持ちの良い歩きができます。

ソルボアの頂上駅から見るトレイル
左バイスホルン、中央ツィナールロートホルン、
右手前ベッソ、
右奥オーバーガーベルホーン(4063m)
ベッソの山(右)に向かって傾斜地を歩く


次第に横切る傾斜がきつくなり、ジナルの村や谷が真下に見えるようになります。振り返れば出発したゴンドラ駅が小さく見え、のどかな牧場の緑が綺麗に広がって見えます。

ソルボアのゴンドラ駅を振り返る

ジナルの村
後の山はディアーブロン・ド・ダーム
(Diablon de Dames 3538m)


更に進むと、「落石注意」の表示がでてきます。何百メート間と横切る長さも書いてあったのですが数値は忘れました。見上げると3,4百メーターはあろうと思われる高さから下の麓まで崩れた崖を真横に突っ切るトラバース道がついています。ちょっと気持ちの悪いところでした。この部分があるからでしょうか、追い抜いて行ったパーティーが1組と、反対側から来たパーティーが1組だけで、静かなトレイルでした。

このガレ場を過ぎるとまた草つきの傾斜になり、咲いている花も増え、目の前に氷河の山がぐっと近づいてきます。

手前がボソン、奥がツィナールロートホルン 奥のツィナールロートホルンの
白の稜線が見事


見え出したマッターホルン(右)
左はオーバー・ガーベルホーン


少し登りになって斜面の膨らみを越えると牧場を仕切る柵の扉に出ます。この辺から斜面に遮られていた前方が次第に開けだし突然マッターホルンの頭が見え出します。ツェルマットから見るマッターホルンとは大分違った形をしています。

なだらかな牧草地の向うにプワント・ド・ジナル(Pointe de Zinal 3789)の三角のトンガリが見え出し、その右に大きくグラン・コルニエ(Grand Cornier 3962m)のハンギング氷河がせまってきます。
マッターホルンは、ここでは平たいエッジ状の頂上で特異な形をしています。しかし、マッターホルンが見えているのも少しの間、どんどん下りだすと、あっという間に見えなくなります。

左マッターホルン、   拡大
中央プワント・ド・ジナル、右グラン・コルニエ マッターホルン

左手にヴァイスホルンとツィナールロートホルンの氷河から流れる深い谷が見え、その右にはベッソの山が大きく山裾を広げています。良く見ると明日歩くグラン・モンテ小屋へのトレイルがベッソの山裾を横切って伸びているのが肉眼でもわかります。

ベッソ

氷河から流れる谷川と滝


朝日に輝くグラン・コルニエ(右上)と
プワント・ド・ジナル(左)

プティ・モンテ小屋から
 


どんどん下りるがなかなかプティ・モンテの山小屋が姿を現さない。やっと見えたと思ったら、小屋はモレインの上に建っていて、一度下ってから登りなおさないといけない。このトレイルは楽なコースと思っていたが、Mieも私も体調がもう1つだったのか、ひどく疲れを感じた。

夕方から夜にかけて雷雨。明日の天気を心配したが、朝早く目が覚めると快晴。グランコルニエの頂上に朝日が当たり赤く輝くのが小屋から見えた。







プティ・モンテ小屋
(Cab. du Petit Mountet)

インターネット情報;
    Cab. du Petit Mountet(英、独、仏、伊)

この小屋だけに来るならジナルから1時間半から2時間もあれば来られる。
小屋はジナル氷河が作ったモレインの上に建っています。

一泊2食付で1人55CHF(約5500円)、夕食はスープとトマトとチーズに牛とマッシュルームの煮込み、それにリゾットと野菜煮、デザートは下ろしたリンゴ(炊いてある)にチョコレートを流したもので、疲れた身体にはぴったりの料理でおいしく食べられた。リゾットも日本のお粥に似て芯が無く口当たりが良かった。
この小屋は、何年か前に焼失してしまい建て直した新しい建物で気持ちが良い。ベッドは幾部屋かに分かれたこじんまりした部屋でゆったりした2段ベット。熱いお湯が出るシャワーがあるのもうれしい。
プティ・モンテ小屋の前から
グラン・コニエルの方向を見る、
雨が降りだす直前
私達が泊まった時はお客は多くなかったが、予約をして行った方が良いと思う。




2日目プティ・モンテ小屋からグラン・モンテ小屋へ進む