ラキウラ・トラック(Rakiura Track)
 人が住む最南端の島で、色々な鳥と出合える太古の森コース

リース・ダート・トラック(Rees & Dart Tracks)を歩く予定をしていたが、クイーンズタウンのDOCに行って、始めてダート・ハット(Dart Hut) が建替え中で小屋に泊ることができず、テントを持たないと行けないことが分かった。テントを借りて行くことも考えたが、テントを担ぐトレーニングもしていないので、残念だがリース・ダート(Rees & Dart) 行きを諦めることにした。
急遽4泊5日をうめる必要があり、スチアート島(Stewart Island) のラキウラ・トラックに行く事にした。スチュワート・アイランド(Stewart Island)のB&Bに2泊とトレッキングに2泊3日で丁度5日間が埋まった。



                  
スチュワート・アイランドはニュージーランドで人が定住する最南端の島になる。佐渡島の約2倍ほどの大きさ。南部は自然保護区で人が入るのが規制されている。
 ラキウラ・トラックは海岸と森林を2泊3日で周回するコース。一番高い所でも海抜300m程だが、アップダウンを繰り返すので、簡単ということでもない。年間降雨量は少ないが、275日は雨が降るという晴れの少ない島。1月に行ったが、夏とは思えない低い温度で朝夕は防寒衣が必要。しかし冬は、凍らず雪も降らず温暖だという。

島で唯一の町、唯一の港 Oban(Halfmoon Bay)
海岸は屋久島のようだと女房が言う。山小屋のビジター・ノートに、日本の人が西表島のようだと書いてあった。照葉樹林と苔と羊歯で、南国を思わせ、気温が低いのを忘れさせる。それに「南にある島」というのがよけいに混乱に拍車をかける。
 変化のある景色は期待できないが、太古の森を存分に味わえる。また色々な野鳥が、次々とすぐ近くに出迎えてくれて、楽しませてくれる。
 この島にいた5日間、偶然とは思うが、日本人はもちろん東洋人に1度も会うことがなかった。アジア系には人気がもう1つといったところか。

島に銀行がないので、クレジットカードは使えない。必ず現金を持参する必要がある。



インターネット情報

 *リンク
 ・Trackの案内(英):Department of Conservation
 ・交通 Bluff-Oban 間の船及び Invercargill-Bluff 間のバス接続 (英) :Foveaux Express

現地での情報と予約
バスと船の予約が必要、事前にインフォメーションセンターで予約をしておく。
Rakiura Track のコースガイドのパンフレットは、ObanのDOCビジター・センターで無料で手に入る。他にDay Walksのコース案内などもある。
ObanのDOCビジター・センターで Intention Card(入山届)に記入しGreat Walk の Hut Pass
料金(一泊1人$10)を払い、入山届の半券をもらう。下山後、ボックスに置いてある提出済
みのカードと共に半券を提出する。 

歩いた年月日 2003、1.12〜1.14

コース 
 入山届(Intention Card)をDOCで記入し、帰る日付の所にファイルし、半券を持つ。半券は帰った時に提出したものと一緒に出すように言われる。各DOC で入山届の書き方や下山後の処理の仕方が少しづつ違うようだ。


1日目  DOC -(1h10min)Ree Bay -(1h10min)Peters Point-(50min)Swing Bridge -(1h05min)North Arm Hut分岐 -(45min)PortWilliam Hut / Total 12km 5h,(Standard 4h-5h)

 DOCを出発し右にハーフムーン・ベイ(Halfmoon Bay)を見ながら歩く。舗装道路から砂利道になり、前方に海が広がった所でリー・ベイ(Ree Bay)に出る。ここがトラックの出発点で大きな鎖の形をした登山口がある。ここから海を右に見ながら林の道に入る。

 しばらく歩いた所で、Mieの手袋に大きな鳥の糞がドーンと落ちてきた。びっくりして見上げると、頭の上の枝に大きな鳥が止まっている。ニュージーランドピジョン(New Zealand pigeon:鳩)だ。鶏より大きい感じだ。暫く止まっていたが、ギシギシギシ、ワサワサワサンと大きな翼の音を立てて飛び立った。
 Mie の手袋を洗ったり、鳩の話をしながら歩くうちに、うっかり海岸を歩く道を見過ごし、満潮用のバイパスの山道に入ってしまい、しばらくの間、急坂で泥だらけの道を歩く羽目になった。 ピータース・ポイント(Peters Point)に着いてやっと視界が広がる。ピータース・ポイントからは、ハーフムーン・ベイ(Halfmoon Bay)に浮かぶ3つ(4つだったかも知れない)の島が良く 見える。 
Peters Poinから、小島と岬
 
 マオリ・ビーチ(Maori Beach)の長い綺麗な白浜を歩き、吊橋の前で昼食。この辺りまではハイカーが足を伸ばして遊びに来ている。吊橋を渡ると、急な坂道で、見晴らしもなく、ノース・アーム・ハット(North Arm Hut)へのトラックから右に入る分岐まで登りが続く。分岐に入ると木道のステップになり、どんどん下る。海岸に出ると直ぐ ポート・ウイリアム・ハット(Port Willian Hut)に着く。こんもりとした林に囲まれた海岸の小屋で、小屋から外を見た感じは日本にもあるような景色で何となく温かそうに思える。食用に何か貝を取ろうと外に出てみたが、寒すぎて水に足をつける気がおこらなかった。


2日目 Port William Hut -(40min)North Arm Hut分岐 -(3h10min)Lookout -(2h05min)
North Arm Hut / Total 12km 5h 50min (Standard 6h)

 ポート・ウィリアム・ハットを出て、昨日下りてきた木道の坂道を登る、木道のステップを数えたら411段あった。女房は、いや 620 段だったと言う。数などどうでも良いが、数えていると、登りのキツサを忘れる。トラックの分岐に出、ここより1日中内陸部を歩く。2つの吊橋を渡り、登りになって暫く進むと、鳥の賑やかなさえずりが聞こえてくる。道の上に真っ赤な花が落ちている。見上げると大きな木に赤い花が咲いているのが見える。ラタ(Rata)の木の花だ。この花の蜜を食べるらしく色んな鳥が飛び交っている。近くの枝にカカ(Kaka:オウムの一種、40cmくらい)が来てじっと止まる。ファンテール(Fantail )が飛びまわる。ツイ(Tui)が奇妙な声で鳴く。ラタの木の一帯が鳥の楽園と言った感じで、変化のない山道の中で、唯一楽しませてくれた。

 更に歩くと、櫓が立ったルックアウト(Lookout :見晴台)にでる。林の中で、見晴台と言っても櫓に登らないと景色が見えない。櫓に登れるのは1人だけと書いてあり、交替で登る。照葉樹林が延々と続き、遠くにパターソン・インレット(Paterson Inlet:入江)が見える。ここで昼食。狭い場所だが、ここ以外に腰を下ろすような適当な場所はなかった。
Lookout より南西方向、スケッチ

 ここを過ぎても全く視界は利かない。ひたすら林の中を歩く。時折、小鳥がやってくる。イェロー・クラウン・パラキート(Yellow Crown Parakeet:インコ)が飛んでくるし、ベルバード(Bell Bird )と思われる鳴き声が聞こえ、ロビン(Robin)が足元に寄ってくる。このトラックは鳥に興味がある人には楽しみのあるコースと思うが、そうでなければ、退屈すると思う。ようやく湾に面したノース・アーム・ハット(North Arm Hut)に着く。丁度干潮で、マッスル(Mussele:ムール貝) が幾らでもとれる。牡蠣はさほど大きくないがその場で生で食べた。美味。マッスルは小屋の外で蒸し、醤油を付けて食べた。磯の香りがして、うまい。ヨーロッパ系は誰一人採ろうとする者はいないようだ。


3日目North Arm Hut -(1h05min)Sawdust Bay -(1h50min)Kaipipi Bay - ( 2h )Doc /
Total 12km 4h 55min (Standard 4h-5h)

 薄曇だが晴れ、雨の多い島と聞いてきたが、3日間とも雨に遭わない。ノース・アーム・ハットを 出てから、ずっと湾沿いを歩いているはずだが、林の中で、何も見えない。ソーダスト・ベイ(Sawdust Bay)が見えて、やっと浜に出たが、何か判らぬ大きな海草がぎっしり生えた浜で、綺麗とは言えない。小さな半島を越えると、プライセス・インレット(Prices Inlet)の池のような入江を過ぎ、カイピピ・ベイ(Kaipipi Bay)のルックアウトにでる。場所は狭いが座って昼食にする絶好の場所。伊勢の英虞湾か志摩の海の何処かで見たような雰囲気だ。
 我々がスチュワート島にあまり新鮮さを感じないのは、景色が日本的なせいではないかと思う。西洋人がこの離島に、どんどんやって来る所を見ると、彼らには我々とは違って、特別に島の良さ感じるものがあるのだろうと思う。
 ルックアウトから道はぐんと良くなり、最後は自動車道路に出る。だらだらと下ると、出発点のDOCに着き、インテンション・カードを届けた。

 「Day Walks」 のパンフレットをもらい、ザックをDOCの入口に置かせてもらい、ゴールデン・ベイ(Golden Bay)-ディープ・ベイ(Deep Bay)-リンガ・リンガ(Ringaringa)の短いウォーキングコースを続けて歩いた。


ゴールデン・ベイ → ディープ・ベイ→ リンガリンガ
(Golden Bay-Deep Bay-Ringaringa)ショートウォーク
  
1h30min-2h
ハーフムーン・ベイから、ひと山越えて、反対側の ゴールデン・ベイ側に出ると丸い イオナ島(Iona Island)を下に見ながら歩く綺麗なコースに出る。

イオナ島が隠れて見えなくなると、ディープ・ベイを下に見て歩く、一度車道に出て、右に行くと、リンガリンガというエキゾチックな名前の砂浜の崖の上に出る。崖の上を進むと、下に綺麗な波が見える岬に出る。 このショートコースは、のんびりと歩くことができ、海の景色がなかなか素晴らしい。苦労して歩いたラキウラ・トラックより、ここの方が美しさは上だと思う。
イオナ島の浜



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