A 2日目 
シェルター・ロック・ハット から ダート・ハット
(Shelter Rock Hut to Dart Hut)


コース
Shelter Rock Hut-(3h)Rees Saddle(Rest20min)-(1h)Swing Bridge(Lunch Time 30min)-(1h15min)Dart Hut
Total:5h15min(休憩を含んで6h)
標高差:Up 527m  Down 517m
最高標高:1477m

朝、殆ど乾かなかった服に着替える。靴も濡れたまま。冷たいが仕方がない。雨は止んでいて所々に朝日が当たるが、山はまだ雲の中。
8時、小屋を一番先に出る。
ニュージーランドを歩くと何時もそうだが方角で混乱する。右下の写真を見て下さい。左の山に右から朝日が当たっているので、左が西で歩く先は北のはずです。所が、朝日は背後からではなく手前から射してくるので、まるで夕方のように南に向かっているように錯覚します。ニュージーランドでは太陽が北側に有るのが混乱してしまう理由なのです。

シェルター・ロック・ハット シェルター・ロック・ハットを出発

ちょと見えたカニングハム山

昨日に続いてリース川沿いをさかのぼる。標高は1000m程度だが、もう林は無くなり潅木も少なく草地になる。谷は北方向から次第に東の方向に向きを変えていく。リース川を左下にしてどんどん登る。

雲の切れ目から白い山が見え出した。始めて見えた山の姿に歓声をあげるが直ぐまた雲に隠れた。地図を見るとカニングハム山(Mt Cunningham 1968m)という山で、その右端が今日越えるリース・サドルになる。



谷の右側をどんどん登っていく。所々小さな沢があるが渡るのに全く問題なし。

登るに従い、次第にまたリース川に近づくが、川幅が小さくなっていく。このあたりは道もしっかりついていて歩きやすい。
やがて、水の流れのない川原になり、目印のポールを頼りに進む。リース川の源流にたどり着いた訳だ。このあたりでやっと前方にリース・サドルの凹みが見え出した。
ここで、後から来た若いペアーに抜かれる。歩く早さがまるで違う。
登ってきたリース川の谷を背にして
ザックはこんな大きさ
リース川も細くなる 前方にリース・サドルが見えてきた


リース・サドルへの最後の登り
(前を行く2人が下の方に見えますか?)

サドル(鞍部)へは正面に草地の傾斜が見えるが、何故か目印のポールは左手の岩の絶壁に向かって行く。絶壁の真下に来ると、最後の登りですと言わんばかりに突然急な登りになる。大きな石の積み重なりを足場にして登る。右手の草地を登ったのでは急過ぎて足場が取れないのかもしれない。左の崖上から石が落ちてくるような気がして良い気持ちがしないが、一歩一歩登る。幸い長い登りではないので一気にサドルまで登れた。もちろん途中で休むような所ではない。
逆コースで来てここを下るのは注意が要ると思うし、雪が付いていれば嫌なところになるように思う。




リース・サドルは標高1477mで標識があり、草地の広い場所になっている。これから下るスノーウィー・クリーク(Snowy Creek)が下に見えます。ここで休憩。
右手(東側)にちょっとした小山があり、綺麗な踏跡がついているので登ってみた。スノーウィー・クリークの上流が見え、振り向けば歩いてきたリース川の谷も良く見える。山のピークがまだ雲の中だが、なかなかの見晴らしだった。
左のリース・サドルの写真を見ると、小山とは反対側にも踏み跡があるので、そちらにも展望が利く場所があるのかも知れませんが、どんなふうになっていたのか覚えがありません。
小山から見下ろすリース・サドル(真ん中)
(左リース川の谷へ、右スノーウィー・クリークへ)
スノーウィー・クリークの上流
(リース・サドルの上から)
登ってきたリース谷を振り返る
(リース・サドルの上から)


リース・サドルからの最初は急な下り、次いでクリークよりも大分高い所の斜面をトラバースするように谷に沿って下る。谷全体の形状は氷河が削ったU字形で、その谷底は川の水で削られた渓谷になっている。道も良く快調に歩く。谷間の先方に雲の下に氷河が見え出した。

スノーウィー・クリークの谷と渓谷 谷間の先に氷河が見え出す


氷河の上の雲が次第に消えて白い山が見え出した。地図を見るとエドワード山(Mt Edward 2620m)で、スノーウィー・クリークの谷を歩いている間中、正面に見え続けた。
この辺りの斜面では、マウント・クック・リリーやマウンテン・デージーなどのニュージーランドを代表する花を沢山見ることができ、楽しい下り道だ。

谷への落ち込みが急になり、暫くは谷のかなり上の方を歩く。エドワード山を眺めながら足元に注意して進む内に谷川に近づき、狭く急流になった峡谷の上に架かる吊橋を渡る。渡って登り返したところで、景色も良く休憩し昼食。
谷の上部を行くトレイル(左)、 
晴れて見えてきたエドワード山
トレイル(左下)が谷に近づく


更にどんどん下ると、ダート川の上流が見え出し、次第に雲が取れ、エドワード山が真っ白な雄姿を見せ始めた。標高3000mに遥かに及ばない山が真っ白に氷河に覆われているというのが何とも信じがたい。
明日天気が良ければ見えているこのダート川上流の谷に入り、カスケード・サドル(Cascade Saddle)に登ることになる。「いいぞー、どんどん晴れろよー」と叫ぶ。

ダート川上流とエドワード山 雲の取れたエドワード山


バーリアー・レンジ山群の山、 手前はウィットボーン谷

更に下るとスノーウィー・クリークとダート川に挟まれた台地に出る。ここに来るとずーっと見えていたエドワーズ山は山の影に隠れ、今度はダート川の北側に連なるバーリアー・レンジ(Barrier Range)の2400m〜2500mの山群が見え出す。その手前に見える谷は、地図で見るとはウィットボーン谷(Whitbourn valley)のようだ。この谷にはウィットボーン氷河(Whitbourn Glacier)へ向かうルートがある。



台地を下りるとテント場に出て、カスケード・サドルへの分岐標識(字がかすれてよく読めなかったが)を過ぎた。スノーウィー・クリークを跨ぐ長い吊橋が見え同時に右下にダート・ハット(Dart Hut)が見える。揺られながら吊橋を渡ると、直ぐにダート・ハットに着いた。時間は午後2時、すっかり晴れて日もまだ高い。
丁度3人の男性が出発する所で、朝からカスケード・サドルに行って来て、これからダレイズ・フラット・ハットに下るのだという。昨日は雨で行けなかったので、1日停滞し、今日一度に2日分を歩くことになったと言ってドロドロの靴を見せ元気に出て行った。
凄いなーと思って小屋に入ると、途中追い越していった若いペアーの男性がいない。着くとすぐ女性を置いてカスケード・サドルに向かったそうで、夕方明るい内に帰ってきた。何とも凄い連中ばかりだ。

ダート・ハット直前の吊橋 ダート・ハット、
後の山はヘッドロング・ピーク(Headlong Pk 2510m)
テラスの柵は物干し場となる


小屋の前の川、 川岸に下りられます
山はアンステッド山(Mt Ansted 2388m)

今朝、濡れたまま着てきた服や靴や雨具を小屋のテラスの柵の日当たりに干し、グジュグジュのまま履いたせいか何とも嫌な臭いの靴下を川に下りて洗い、ついでに身体を拭いて、やっと人心地ついた。
適度な風もあって夕方までには全てが乾いた。

小屋は、ここも2棟ありベット数は32。今日もワーデン(レンジャー)はいなかった。泊まるのは我々2人を含めてシェルター・ロックハットから来た3グループ8人のみ。静かな夜を過した。

夜中にトイレに行き空を見上げると、天の川が星というよりも完全な白の帯、月がないのに空が明るいほどの満点の星だった。





  
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