ティーフェンバッハグレッチャー から フェント への パノラマ登山道
   (Panoramaweg
from Tiefenbachgletcher to Vent) 


パノラマヴェーク(展望登山道;Panoramaweg)と呼ばれるこのトレイルへは、セルデン(Soerden)からバスでエッタラーグレッチャーシュトラーセ(Oetzlergletcherstrasse)という有料道路を通り、終点のティーフェンバッハグレッチャー(Tiefenbachgletcher)まで行きます。ここがスタート点で既に2700m を越えていて、目の前に氷河が見えます。
左下にフェンタータール(Ventertal)の谷、前と谷越しにエッツターラー・アルペン(Oetztaler Alpen)の山を絶えず見ながら、フェンタータールの谷のどん詰まりの村・フェントに下ります。トレイルは良く整備されていて快適な山歩きを楽しめます。
ヴァイスカールの標識と、ヴァイサーコーゲル山
セルデンからフェントやティーフェンバッハグレッチャーへ行くバスの時刻を事前に知りたいと思い、ネットで捜したが見つからなかった。バスの時刻も分かるオーストリア鉄道(OBB)の検索でも出てこなかった。
セルデンに着いて直ぐインフォメーションセンターに行き、バスの時刻表を尋ねると、両方のバス時刻が載ったA4のコピーをもらうことができた。時刻表は7月8日から9月10日の夏期間となっていたので、頻繁にバス時刻が変わるのかもしれません。
  歩いた日;2006年7月11日
  コース;
トンネル入り口 -(25min)Tiefenbachgletscher -(10min)標識-(1h25min)Weisskar -(2h)Stablein Alm分岐 -(30min)Vent

[合計時間;4h30min(トンネル内をバスが通れば4h)
標高差;下り885m (トンネル内登り110m)
最高標高;2780m]



セルデンでバスに乗るとき、運転手にエッツタール・カードを見せてティーフェンバッハグレッチャー(Tiefenbachgletscher)行きか運転手に尋ねた。運転手は何か言っているが、ドイツ語で分からない。行き先が違うとは言っていないようなので、乗り込む。

トンネルの直ぐ手前からレッテンバッハ氷河(スキー場)

バスは、ゴンドラがガイスラッハコーゲルへ上る傾斜地を斜めに走り、やがてガイスラッハコーゲルの裏側に出てガラガラした岩地にできた有料道路を進むと正面に氷河見えだした。夏でもスキーができるレッテンバッハグレッチャー(Rettenbachgletscher)だ。

*夏の高温が続き、氷河が危険になった為、7月17日から当分スキー禁止になってしまったようです。


ここで客の半分ほどが下りたが、我々は下りずにヨーロッパ第一の標高にあるトンネルをくぐり終点のスキー場・ティーフェンバッハグレッチャー(Tiefenbachgletscher)に行く、と思っていたら、トンネルの前でバスが突然停止し、運転手が何やら言うと、客が下りだす。我々と同じく数人は事情が分からず座っていると、一人の客が「トンネルが工事中なのでここからトンネルの中を歩く」と英語で教えてくれた。「エェッ!?」とビックリしたが、バスに乗った時の運転手の話はこれだったのかと理解ができた。

トンネルは緩やかな登り坂で長さは2km弱、電灯はあるが薄暗い。出口の明りが点のように見える。出口に向かって歩くが一向に近づかない。途中、大きな重機が入り土を完全に穿り返して工事の真っ最中だった。トンネルの中には居たくないので、皆足早に歩く。やっと出口に着いてほっとした。25分かかった。

トンネルの入り口を振り返る トンネルの出口


ティーフェンバッハグレッチャー、
歩いてきたトンネルの出口が見えるかな(右中央)



ティーフェンバッハグレッチャーは元々夏のスキー営業はしていないが、車が入れないので駐車場は一台の車もない。
ぐるりと回る車道を進むと、ハイキング標識があり、ここからやっとトレイルが始まった。

トレイルに入って暫くして、
左;ガンプレスコーゲル(Gampleskogel 3399m)
中央;ラモルコーゲル(Lamolkogel 3549m)
右端;シミラウン(Similaun 3599m)



歩く先にフェンタータルの谷を挟んでエッタタール・アルペンの山が広がる。目の前にガンプレスコーゲル(Gampleskogel)の山が大きく聳えるが、この山の裏は明日行く予定のオーバーグルグル(Obergurgl)の村がある。
幾重にも谷と山が重なり合っている。

右の斜面の上から流れる沢があり、小さな橋を渡る。右上に岩がゴロゴロ見える。斜面をトラバースしながら進む。左は切れ落ちて谷の下に小さく人家が見える。


更に進むと、ヴァイサーコーゲル(Weiskogel 3407m)の山が正面に姿を現し、その下に氷河が横たわる。かって氷河の有ったあたりは赤みがかった色で覆われたカール状にになっていて、その名もヴァイスカール(Weiskar)という。歩くに従いどんどんこのカールの中に入る。小さな池があって一休みするのに良い。池のほとりに2656mの標識が立っている。

ヴァイスコーゲルの山と氷河とカール ヴァイスコーゲルの山を前にして 拡大→


ヴァイスカールを過ぎると少し登りになり、ヴァイスコーゲルから左に伸びたヴァイスカールコーゲル(Weiskarkogel 2996m)の尾根を回り込んで越える。

越えた所は絶好の展望地。正面にガンプレスコーゲル(3399m)がせまり、その奥にラモルコーゲル(3549m)が氷河を乗せたピークを見せる。深く落ち込んだ谷が凄みをきかす。
ガンプレスコーゲル ラモルコーゲル(中央)


尾根を越えた所で休んでいた日本人2人に会った。東京から来た70歳台の男性で、私達より50分前の始発のバスで来たようだが、追いつかれたかと言って笑っていた。バスの客は2人だけだったそうで、トンネルを歩くのが怖かったと言っていた。海苔を巻いたお握りを食べている。聞くと電子レンジでできるご飯のパックを日本から沢山持ってきて、お湯に浸けてご飯を作り、毎朝お握りにするそうだ。これもこだわりのアルプス・ハイキングの1つと感心した。前を通り過ぎるヨーロッパ人がお握りを見て、「オー、スーシ」といって驚いていた。


フェントに向かって下る
左谷奥の白い山はシミラウン(3599m),
正面はタールライトシュピッツェ(Talleitspitze 3406m)
拡大→



尾根を越えると、ここからは下りになり、フェントの村が見えるようになる。周りに草花が広がり、のんびり歩ける。正面に尖ったピークのタ−ルライトシュピッツェ(Talleitspitze 3406m)が威容を誇り、その左奥にイタリアの国境に立つシミラウンの白い山が見える。

更に下ると、右ブレスラウアーヒュッテ(Breslauerhutte)の標識があり、ここからトレイルは砂利道と交差しながらフェントへ向かう。どちらの道でも好きなほうを歩いて行けば、まもなくフェントに着く。





ホーエ・ムートから ロートムース氷河へ進む→