セクシャルテイー2
コンピューター室の奥には休憩用の小部屋があり、そこには常時コーヒーが沸かしてあって、好きに飲んで休めるようになっていた。 部屋にはテーブルが一つと、長椅子に、一人用のソファが三つ。 ショーンが入った部屋には、既に先客があった。 長椅子に身体を伸ばして眠っている少年・・・ そう。ヒイロ・ユイと名乗った新しい同僚は、美少女なのではなく少年であったのだ。 それを知った時、男達の大半はなんてもったいない!と心底嘆いたものだ。 女好きのショーンもその一人であったが、彼が自信を持っていた暗号をほぼ一日でこの少年に解読されてからは見る目が変わった。 これまで、どんな暗号解読のプロにも解けない暗号であったのに・・・ 解読しようと四苦八苦する連中を見るのが何よりも楽しみなショーンであったが、それを簡単に打ち壊してくれたのだ。 そう簡単ではなかったとヒイロ・ユイは言った。 これまで見てきた暗号の中では手こずった方だと。 しかし、そう言われたショーンは思わずこめかみに青筋がたつほどむかついた。 こんなガキに! 今もまだそのむかつきはおさまっていない。 何故なら、その後に少年は、誰にも解けない暗号を作って喜んでいるようでは、単なる子供の遊びにすぎないと言ったのだ。 こんなガキに言われて腹が立たないわけはない。 ショーンがそばに寄っていっても、少年は目を開けなかった。 そういえば、ショーンの作った暗号の解読に一日、その前に他の仕事で二日、殆ど寝ずに働いていたことに思い当たる。 子供にしては無愛想で疲れの色も見せないので今まで気にもとめていなかったが、確かに疲れきっていてもおかしくはなかった。 ふっと、ショーンは仕事場に続いているドアの方に目をやる。 コンピューター室には、今の所数人しか残っていない。 他の連中は自室に戻っているか、女を買いに町へ出ている筈だった。 ショーンの口元が笑みを形作る。 長椅子に眠る少年の顔は、いつもと違ってかなり幼く見えた。 ショーンが顔を覗き込んでも、少年の長いまつげはピクリとも動かない。 通った鼻筋と、赤く色づいて見える小さな唇。 肌は、近くでみても本当に滑らかで、その白さからまるでビスクドールのようだとショーンは溜息をつく。 これが女ではないなど、本当に神様も意地が悪いとグチりたくなった。 まあ同性趣味で、しかも美少年好みの奴なら泣いて喜ぶ対象だろうが。 (しっかしまあ・・・ホントに綺麗なガキだな) 改めて少年を眺めたショーンは、またも感嘆の吐息を漏らす。 その手の趣味はカケラもないショーンであったが、それでもむくむくと興味がわき上がってくるほど、この少年は魅力的なのだ。 しかも、自分が負けを認めるほどの知能の持ち主ときてる。 美しいだけなら、女でいくらでもいる。 町で抱いたビーナスも、誰もが認める美しい女だ。 しかし、美しくて知能の高い人間となると、ごくまれだ。 抱いてみたら、いったいどんな感じだろう? その、思いがけず沸き上がってきた欲望は、意志に関係なくショーンの下半身に直結し反応した。 やばいと思うよりも、この少年の肌に触れてみたいという欲求の方が強く、ショーンの手は自然と自分のベルトにかかっていた。 本当に壊れてしまうんじゃないかと思うほど華奢な身体に男の身体がのし掛かると、さすがに少年は蒼い瞳を開いた。 ショーンは少年が抵抗する前に、素早く手に持っていたベルトで細い両手首を拘束し、頭の上の肘おきの所で動かないよう固定した。 いったい何が起こったのかわからないというように蒼い瞳を見開いた少年が、次に抗議の声を上げる前に自分の大きな手で口をふさいだ。 よお・・とショーンが口の端を上げて笑うと、両手の自由を奪われ、口を塞がれた少年の眉が険しくひそめられた。