伝わった・・・?





 

第九話







まだパジャマのズボンを履いたままだったことに気付き、賢悟を横たえると脱がしにかかる。
下着とまとめて引っこ抜くと、透明な滴が糸を引いた。
「あんまり触ってなのに、濡らしてたんだ?」
からかうように問いかけると、賢悟は恥ずかしそうに身体を横に捻ってしまう。
「賢悟さん、逃げないで。ちゃんと全部見せてよ」
おれのも見たんだから不公平でしょ、と無理やり身体を引き寄せた。
「足、開いて・・・?」
強制ではなく、問いかけるように賢悟の自主性を促せば、賢悟は膝を立てた足を左右に倒した。
「そこの引き出し」
賢悟に指示された引き出しを開けると、そこには小さなボトルがあった。
確かめるまでもなく、それが潤滑用のジェルであることぐらい大志にもわかる。
「これ・・・賢悟さんが準備した・・・の?」
手にしたボトルが未開封であることに安堵している自分を認めながらも、問いかける声が上擦った。
まさかこんなものがこの部屋にあるなんて。
もし使いさし・・・だったらと思うとぞっとする。
「他に誰が準備するんだ?それに言っておくがおれは遊んでもないし節操なしでもない」
怒りを含んだ賢悟の物言いは照れ隠しなんだろう。
それにしてもどういうつもりでこれを購入したのかはわからないが、大志に存在を教えたということは、大志との来るべき日のために用意しておいたのだろうと考えることにした。
「うん、そうだね。賢悟さんが用意しておいてくれて助かった。ありがとう」
「礼はいいから。いつまでおれに・・・こんな恥ずかしい格好をさせておく気だ?」
賢悟流のつっけんどうな言い方に、賢悟もこの行為を望んでくれているのだという気持ちが表れてるような気がして、大志は嬉しさでいっぱいになった。
「ごめんね。痛かったら言ってね」
手のひらにジェルを垂らし、人肌で温めて指にすくい取り、大志はゆっくり賢悟の後ろに指を伸ばした。
最初は窄まりに塗りこめるように優しく指先で触れてみる。
「あっ、ぁ・・・あ、ンンッ・・・・・・」
立てた膝を小さく揺らして、賢悟は窄まりを引くつかせた。
何度かジェルを足しながら周囲に潤いを与えると、大志はゆっくりと指先を埋めた。
「うわっ、すっげー、中、熱い・・・・・・」
ツプリと大志の指先を飲み込んだ後ろは、想像以上に熱く、狭かった。
これはかなり時間をかけて慣らす必要があると、大志は気合を入れなおす。
絶対に賢悟に痛いという意識を与えなくなかったし、傷つけたくもなかった。
ゆっくり前後に抜き差しを繰り返し、ときどきグルリと回転させて広げてみる。
「賢悟さん、痛くない・・・?平気・・・?」
「大丈夫だから・・・そんなに優しく扱わなくて壊れないから」
じれったそうな賢悟の言葉に、大志は気をよくする。
「じゃあ指増やしてみるから」
さらにジェルを足して2本に増やした指を埋めてみれば、ジェルの滑りを利用してすんなり飲み込んでいった。
チュクチュクという卑猥な摩擦音がふたりの温度をさらに上げてゆくかのようだ。
指を出し入れするたびに小さな悩ましい喘ぎをもらしているものの、苦痛はないようなので、大志は抜き差しの速度を速めてみた。
「いっ、やっ・・・あっ・・・はぁん・・・・・・ンぅ・・・・・・」
敷布団をギュッと握って悶える姿はさらに大志を調子に乗せる。
「やっ、そこっ、いやっ・・・ひ、あっ・・・・・・ア―――っ」
「ココ、いいの?賢悟さんの好きなとこ・・・?」
ひときわ嬌声の上がったところを指先で擦り上げると、賢悟の先端から透明の滴が零れ落ちた。
「んっ、好き、ソコ・・・気持ちイイ―――はぁ・・・ん・・・・・・」
さらに目の前で存在を示す賢悟自身を、大志はパクリと口に含んだ。
「やっ、そん、なっ、あぁ・・・・・・」
さきほど賢悟にしてもらったのを思い出して、くちびるで扱きながら幹に舌を絡ませた。
もちろん後孔を探る指の動きも休むことなく刺激し続ける。
「ふぁ・・・あっ・・・・・・ン・・・」
大志も気持ちがよかった括れの部分に舌を這わせれば、連動するように後孔がキュッと指を締め付ける。
腰をくねらせ敷布団を足で引っかきながら、愉悦の表情を浮かべる賢悟の痴態を見せられ、大志はすでに限界だった。
「賢悟さん」
指を引き抜き、汗に濡れた賢悟の前髪を梳きながら呼びかけてみると、ゆっくりと賢悟は瞼を開いた。
欲情に濡れた眼差しはとてつもなく艶めいていて、大志はゴクリと生唾を飲んだ。
聞かなくてもわかった。
賢悟も大志を求めていることが。
大志はすっかり慣らされて緩んだ賢悟の後孔に、ゆっくりと慎重に腰を進めた。
「んぁ・・・・・・ん・・・・・・あぁっ・・・・・・」
「きっつ・・・賢悟さん、もうちょっと緩め―――」
「なっ、む、ムリ・・・あっ、はぁ・・・・・・ん」
その感触は指で感じた以上だった。
キツいのもさることながら、とにかく熱くて絡みつくように大志を包み込む。
潤滑ジェルの助けを借りて、何とか最後まで埋め込むと、大志は改めて賢悟の感触を味わった。
「賢悟さん、わかる・・・?おれを感じてる・・・・・・?」
「ん・・・ちゃんと挿ってる・・・おまえの、おれの中でドクドクいってる・・・・・・」
うわっ・・・賢悟さんカワイすぎ!
もっと甘えてほしい。もっと気持ちよくなって欲しい。もっと無防備な姿を見せて欲しい。
「賢悟さん、好き。すごく好き。もう大好き」
抑えられない気持ちを吐露すれば、はぁはぁと胸を上下させながらも、賢悟は大志に向かって手を伸ばしてきた。
大志が身体を倒してその腕に応えると、賢悟はとても満足げに大志を抱き締める。
吐息交じりの甘い声が大志の耳を直撃した。
「動いて・・・?おまえのいいようにしていいから・・・・・・」
ねだるような甘ったるい声にうっとりしていると、「もちろん・・・おれも気持ちよくすることを忘れるな」といつもの賢悟らしい言葉が続けられ、大志は苦笑した。
「了解。賢悟さん、覚悟してよね」
「生意気言う、な、はっ、ぁ・・・・・・ん、あっ、ア・・・・・・」
大志が腰を揺さぶり始めると、賢悟はすぐに濡れた声を上げた。
闇雲に抜き差しするだけでなく、強弱をつけたり、浅いところを責めてみたり、はたまた奥まで抉ってみたりと、考えうるすべての方法で後孔を侵略してゆく。
抜くと追いかけるように絡みつき、挿れると絞り取るように絡んでくる賢悟の粘膜は、経験したことのない最高の悦楽を大志に与えた。
グチュグチュという濡れた音とふたり分の熱のこもった息遣いが、静かな部屋を淫靡な世界へと創り上げてゆく。
指で慣らしている時に賢悟が酷く感じた場所を抉ると、賢悟は大志の背中に回した腕に力を入れる。
「ひぁ・・・・・・・あ、あっ・・・ダ、ダメっ、ソコ、いっ・・・・・・」
「ダメ・・・?ダメじゃないでしょ?気持ちイイでしょ?賢悟さん・・・」
それを証拠に、大志の腹に擦られ揺れる賢悟自身から零れる透明の体液が賢悟の腹を濡らしてゆく。
止まらない律動に、一生懸命しがみついていた賢悟の腕がポトリと布団の上に落ちた。
汗で滑ったその手のひらに手を重ねてギュッと握り合うと、前傾姿勢になり角度が変わったのか、賢悟が身体を震わせた。目の前に可愛らしく尖った胸の粒を見つけ、大志はそれを口に含んだ
「あっ、はぁ・・・・・・あんっ、や、やだ・・・・・・」
「ここも好きだって、賢悟さん言ったじゃないですか」
「そん、なっ・・・、あぁっ・・・・・・」
感じすぎる身体には、二ヶ所同時の責めはキツイのか、髪を振り乱し、賢悟は乱れる。
あまりに扇情的なその姿は、大志を夢中にさせた。
「イ・・・イイッ、気持ちい・・・・・・お、おまえもっ、い・・・い・・・・・・?」
「賢悟さんが絡みついて離してくれないから」
「バ、あっ、あっ、あぁっ・・・・・お、おねが・・・も、もう・・・」
「うん、おれも、もうダメかも・・・・・・」
重ねた手はそのままで、もう一方の手で大志は賢悟自身に手を添えた。
すっかり濡れそぼったそれは滑りもよく、腰の動きに合わせて扱いてゆく。
穿つ腰の動きも早いリズムを刻み、大志は極みを目指して汗を撒き散らした。
「賢悟さんっ・・・・・・」
「ひぁ、あっ、あっ、イ、イイっ・・・ン、アッ、アァッ・・・・・・」
「イ、イキそう・・・・・・?」
「あ・・・・・・ぅ、あっ、ぁあああっ―――」
大志がグイッと奥まで抉った瞬間、賢悟はひときわ高い声をあげ、大志の手の中に白濁を撒き散らした。
同時に大志に絡みついていた粘膜がギュッと締まり、あまりの締め付けに擦られた大志も弾けた。













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