伝わった・・・?





 

第八話







「ンっ・・・ぅ・・・・・・」
荒々しいくちづけは、賢悟を朦朧とさせ、大志を夢中にさせた。
あんな告白を聞かされて、大志は自分でもかなりテンションが高くなっているのを自覚していたがもう自分を止めることなんてできなかった。
ディープキスは初めてじゃないけれど、今までのどんなキスより興奮を呼び起こした。
角度を変えながら貪りあい唾液を交換しあう。
覆いかぶさり、深く舌を差し込めば、賢悟がそれに応えるように絡みつかせる。時折くちびるを離しては舌だけを擦り合わせ絡め合うと、賢悟は身体を震わせた。
感じてくれてるのかな・・・・・・?
大志にとっては初めてのセックスとなる。
何しろ中学時代は女子よりも男子とつるんでいるほうが楽しかったし、高校に入学してからは賢悟一筋だったのだから仕方がない。
どんどん経験してゆくクラスメートの話を羨ましいと思ったことは否めないが、軽い気持ちで初体験だけを済ませてしまえるほど大志は軽い性格ではなかった。
もちろん賢悟のことを考えながら右手のお世話になったことは何回もあるのだが。
賢悟さんはどうなんだろう・・・・・・
真面目でストイックな印象から、恋愛なんて言葉は想像もできないのだが、ふとした瞬間に『経験』を垣間見ることがあるのだ。
だけど、おれに蹴りを食らわしたあの時の振る舞いはウブっぽかったけど・・・・・・
大志も初体験ながら、ひととおりの勉強はしてきたつもりだ。
AVも見たし、ゲイもののAVも通販で買って見たりした。ネットでもいろんなサイトを見てまわった。
その成果を試す時がやってきたのだが、果たして上手くできるのだろうか。
不安が頭を掠めたときだった。
「う、うわっ〜〜〜、な、何?」
何と賢悟が大志の股間をまさぐってきたのだ。
「おまえの思うとおりにヤレばいんだ」
突然動きが止まった大志に、賢悟は優しく声をかけ、もう一方の手で賢悟の手首を掴むと、その手を自分の股間に導いた。
薄いパジャマの布越しに触れた賢悟の股間は、すでに反応の兆しを見せていた。
「触れたいって思ったところに触れて、相手が触れて欲しいって思ったところに触れてやる。簡単なことだろ?」
「賢悟さん・・・」
「男も女もそう変わりはない。おまえが・・・おれを抱くんだろ?雄の本能に任せればいいから」
そういう間も賢悟は大志自身をなぞるように刺激してくるから、大志は慌てて不埒に動くその手を押さえ込んだ。
「ごめん・・・それ、ちょっとヤバい。そんなことされたら、おれ、もたないから。先におれにヤラせて」
賢悟の首筋に顔を埋めると、肌に吸い付いた。そのまま耳元まで舐め上げると、耳朶をくちびるで挟み、尖らせた舌で輪郭をなぞってゆく。
「・・・んぁ・・・ン・・・・・・」
キスの時にも思ったことだが、どうやら賢悟は感じやすい体質らしい。
「耳も感じるんだね」
大志がそっと耳元で囁くと、賢悟は返事のような小さな吐息を漏らした。
賢悟が大志の方に顔をずらして、ねだるようにくちびるを寄せてくるから、大志はすぐにそれに応える。
貪るように舌を絡め合いながらも、大志は賢悟の股間をゆっくり揉んでゆく。
名残惜しげにくちびるを離すと、再び首筋を舐め上げ、浮き出た鎖骨を舌でたどった。
賢悟が股間をまさぐる大志の手を、パジャマの裾から自分の胸に導く。
「ここも・・・」
甘えるような響きを含んだ賢悟の声に、大志の身体が熱くなる。
他人のボタンを外すという初めての行為に戸惑う大志を助けるかのように、賢悟は自分でパジャマのボタンを外した。
露わになった賢悟の胸を、大志はそっと撫でてみる。
冷房の効いた部屋の空気は冷たいはずなのに、触れた賢悟の肌はじんわり火照っていた。
服を着ているときには華奢に思える身体も、キレイに筋肉がついている。そして何よりもスベスベだった。
あの時は少ししか触れることができなかった肌をゆっくりと堪能するように撫でる。
「賢悟さん、すごくスベスベしてて気持ちいい」
「ば、ばかっ。そんなこといちいち説明すん―――やっ・・・」
「あ、乳首、キモチいい・・・?ココ、好き・・・?」
どこかのビデオで聞いたような台詞だなと内心呆れながらも、大志は言ってる自分とそれにいちいち反応する賢悟に興奮を隠せない。
偶然掠めた指先の動きに、賢悟は即座に反応し、それがさらに大志を煽り立てる。
今度は意図的にまだ柔らかい小さな粒を指先でクリクリと擦ったら、賢悟は身体をくねらせて濡れた声を上げた。
「やっ・・・あっ・・・・・・」
普段なら絶対に聞けない、賢悟の甘い声。
どうやら賢悟は快楽に従順な性質らしく、普段の慎ましやかな雰囲気とはまるで違う。
その変貌は大志をますます喜ばせた。
もっと聞きたくて、大志は凝って硬くなった粒にくちびるを寄せた。
肌の色が違う粒の周りを尖らせた舌でぐるりと360度一周させ、中心で小さく主張する粒を舌先でピンと弾いてみる。
「やぁっ」
そのまま吸い付いて舌先で粒を転がすように愛撫すると、賢悟は大志の後頭部を抱きしめながら、髪に指を差し入れてかき回す。
舌先から伝わる硬く小さな粒の感触は悪くなく、チュウチュウと吸ってみれば、賢悟の濡れた声も大きくなった。
空いている手でもう一方の乳首も引っ掻いては摘んでを繰り返す。
「いやっ・・・やっ、はぁっ・・・・アッ・・・・・・」
「賢悟さんがここもさわってって言ったんでしょ」
「だけど、おまえ、ちょっとやりすぎ・・・」
「だって賢悟さんがキモチよさそうだから・・・」
「それなら今度はおまえの番」
賢悟に身体を入れ換えられ、大志は仰向けに布団の上に転がされた。
大志の両足を挟むように賢悟は座り込み、躊躇なく大志の下着を下ろした。
「え?け、賢悟―――うわっ、あっ・・・・・・」
賢悟を愛撫することですっかり勃ち上がりかけていた大志のモノが濡れた感触に包まれる。
上半身を起こした大志は、自分の股間に顔を埋める賢悟に唖然とした。
自分が賢悟を口で愛撫することはあっても、まさかこんなことを賢悟がするとは思わなかったのだ。
薄暗い中でも、自分の膝の上にいる賢悟の様子ははっきりとわかる。
あまりの壮絶な光景に、大志は目を閉じて感覚だけを追うことにした。
熱く柔らかい粘膜に扱かれ、時折冷たい空気を感じたと思えば先端をチロチロとくすぐるように舐められる。
裏筋と括れを舌先で刺激されれば、腹筋がヒクヒクと震えるのがわかった。
根元の袋を指先で弄びながらのディープスロートは、今まで経験したことのないような気持ちよさで、大志は幾度か吐き出してしまいたい欲望に駆られた。
それでも我慢したのは、やっぱり最初は賢悟の中でイキたかったから。
「賢悟さん、もう・・・もういい・・・・・・」
すっかり大きくなり飲みこめなくなったのか、しゃぶるばかりになってきた賢悟の奉仕に、これ幸いと声をかけた。
手の中に大志を握ったまま顔を上げた賢悟は、唾液と先走りで濡れたくちびるが壮絶に色っぽく、大志はそのてかりをぬぐうかのように賢悟にくちびるを重ねた。
少し苦いのは自分の体液のせい・・・なんだろう。
愛しくて愛しくて、大志はチュッチュと小さなキスを繰り返しながら問いかける。
「賢悟さんの中・・・挿ってもいい・・・・・・?」
もちろんイヤなんて言わせないけど。
「いろいろ、準備が面倒だぞ・・・?」
俯いてしまった賢悟は、一体どんな顔をして言っているのだろう。
そんな想像すらも今の大志には楽しくて仕方がない。
賢悟が口で奉仕してくれたことは、大志に自信を持たせたのだ。
自分は賢悟の恋人として認めてもらえてるんだと。
「知ってる。ちゃんと勉強してきたから」
手を伸ばして賢悟の頬を指先で捉えると、そのまま顎に滑らせ、優しく顎を持ち上げた。
ちゃんと正面から視線を合わせ、真剣な眼差しで賢悟の瞳を見つめると、賢悟自ら大志の身体に身を預けてきた。
「おまえで・・・おれの中をいっぱいにしてくれ・・・・・・」













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