mean










<第九話>






あくまでも小説はフィクションだと思っている。
勉強だと読み漁った小説には、こんな風に後ろで感じてイッてしまう受けもいたけれど、まさか自分もこんな風に感じることができるとは・・・
まだまだこれだけではイケそうにないけれど、キモチよくてたまらないのは本当で・・・
襲い来る快感を貪っていると、すっと簡単にそれは去って行った。
「なんで・・・?」
そんな言葉が口をつく。
くちびるに崎山を感じ、ずっと閉じていた瞼を開けると、目の前に笑顔の新之助。
ほんの数分なのに、懐かしくてたまらない。
「新之助っ!」
思わず身体を少し起こして首に抱きつくと、背中に手を回してあやすようにポンポン叩いてくれた。
「何や?急に甘えん坊に変身か?」
ちゃかすような言葉も、今はうれしくて仕方ない。
「―――おれを・・・受け入れてくれる?」
耳元で、最高に甘い声で囁かれて、下半身にズシンと来た。
「そのために・・・慣らしたんだろ?」
甘えるように抱きついてしまったことが照れくさくて、少し乱暴な口調になってしまったけれど、おれの扱いになれているこいつはそんなことでは動じなかった。
「後ろからのほうが楽なんだけど・・・」
遠慮がちに言われてその体位を想像した。
「楽じゃなくても、前からがいい・・・」
おれの顔を見られるのは恥ずかしいけれど、崎山の顔を見られないのはもっとイヤだ。
ゆっくり身体を押し倒されて、大きく足を開かれ、持ち上げられた。
「ゆっくり息吐いて・・・」
言われたようにすると、呼吸に合わせて、ゆっくり腰を進めてきた。
「んっ・・・あっ、イ、イタ・・・」
きりきり狭い場所を切り開かれるような痛みに襲われた。
でも、イタイとは言いたくない。
越えなければならない痛みなのだから。
口を開くと悲鳴が漏れそうでギュッとくちびるを噛みしめていると、くちびるを舐められた。
そのまま歯列を開くと、濃厚くちづけを与えられた。柔らかい舌を追っていると、痛みから意識がずれてゆく。
「ま、まだ・・・?」
「も少し・・・」
崎山もつらいのか、尋常な声ではなかった。
あんな狭い場所に挿入しているのだから当たり前かもしれない。
それに・・・こいつも挿入するのは初めての経験なのだ。
それまでも行為は、慣れたような手つきだった。
与える方も与えられる方もそう差はない行為なのかもしれない。
しかし、いざ挿れるとなると、話は別なのだろう。
はあはあと息を荒げ、動かなくなったところを見ると、全部・・・入ったのか?
「しんの・・・すけ・・・?」
「めっちゃ感動してる・・・すごいおれ友樹の中に・・・熱い・・・」
「おれも・・・スゴイ熱い・・・新之助の・・・ドクドクしてる・・・」
不思議な感覚。圧迫感で、めいっぱい広がっているであろうその場所は少しヒリヒリするけれど、それよりも好きな人とひとつになっていて、その脈動を感じていることは、心を満足感で満たしてくれる。
「動いていい?」
頷くと、ゆっくり腰を使い始めた。
ゆっくりと抜かれて突かれる、その繰り返しはやはり痛みを伴う。
「んっ・・・くアッ・・・んんっ、イッ・・・」
痛くて自然に涙が滲む。
崎山は手の届かない場所にいるから、縋りつくものがなくて、たまらずシーツを掴んだ。
揺れる身体を堪えるかのように、ギュッと布団のシーツを手繰り寄せる。
崎山は、おれの前も手で扱いてくれているが、やはり意識は繋がった場所にばかりいってしまい、あまり反応しないし、扱かれるキモチよさも感じない。
しかし、人間の身体というのもは凄いもので、しばらくすると慣れてくる。
すると、抽挿されていた新之助の先端が、あの場所を直撃した。
「んっ、あっ、ソコ」
最高に恥ずかしい声とともに、その場所を主張すると、何も言わずそこめがけて責めてきた。
指でも感じたその部分は、崎山と繋がっているというだけで、さっきとは比べものにならないくらいの快感をくれる。
「友樹・・・キモチいいか?」
確かめるように聞かれ、がくがくと頷いた。
「んんっ、イイよソコ・・・すっごい・・・あっ・・・」
今度はあまりに刺激が強すぎて、シーツをギュッと握り直したところ、突然揺さぶりが止み、胸に人肌を感じた。
崎山は、おれを抱きしめ、そして、シーツからおれの指を剥ぎ取ると背中に回させた。
「掴むのはそんなもんじゃなくて、おれにしとき」
涙の流れた跡を舌で辿ると、やっとキスをくれた。
抱きあうのなら、やっぱり肌を重ねていたいと、切実に思いながら、思いっきり崎山にしがみついた。
「一緒にキモチようなるんや、友樹」
崎山が身体を前に倒したため、おれの足はさらに開かれ、先ほどよりも深い場所を穿たれる。
重なった身体が揺れるたびに、おれ自身がふたりの腹で擦られ、どんどんはしたない体液を滴らせる。
名前を呼ばれ、好きだと、愛してると、何度も囁かれた。
初めてで、こんなに感じてしまい、おれは淫乱なのだろうかと、そんな重いが一瞬頭を掠めたけれど、それも与えられる快感の前にはどうしようもなく、おれはもっともっととねだっていた。
もともと器用な崎山は、はずすことなくおれのポイントを責め立て、たまにはずらしてじらせたりと翻弄する。
ずっとこうしていたい・・・その気持ちは大きかったけれど、やはり限界はやってきた。
「おれ・・・もう・・・ダメかもっ、しんのすけっ、あっ」
「おれももう・・・」
ピッチが上がる抽挿に、ガクガクと人形のように身体を揺さぶられ、さらに奥まで穿たれた。
「あっ、ヤッ、しん・・・イ、イクっ、ああっ」
最後は、崎山の手も添えられた状態で、おれは腹の間に欲望をぶちまけた。
その瞬間、キュッと繋がった部分が締まったのがわかり、その反動か、崎山もおれの中で果てたようだった。










back next novels top top