新しい朝





第十三話
〜成瀬side〜






何度も何度も愛し合った後、片岡はおれをバスルームに連れて行き、丁寧に身体をきれいにしてくれた。
隣りには先に眠りについた片岡が、安らかな寝息をたてている。



康介たち・・・どうしただろ・・・?



片岡と過ごすことを選んだのはおれ自身。
あの時は、何も考えなかった。
片岡と一緒にいたい、ただそれだけだった。

起こさないようにベッドを抜け出すと、ケータイの着信をチェックする。
着信は・・・ないかわりに、一件の伝言が入っていた。

気になってセンターへと電話を繋げた。
『おれ、二ノ宮。今日は峻と過ごすんだろ?かわりに弟さんたちの面倒引き受けてやるから・・・ごゆっくり』

おれはケータイを握りしめた。
確かにおれは片岡と一緒だと言ったけれど・・・弟たちとの約束のことは言っていない。
「どうした・・・?」
はっと振り返ると、片岡が半身を起こしてこちらを見ていた。
「これ・・・・・・」
ケータイを差し出して、伝言を聞かせると、片岡はクスリと笑った。
「圭に感謝しなくちゃな」
「なんで?」
「もし、コトの最中にケータイが鳴ったら・・・きっとおまえは帰ってたろ?」
決めつけたような言い方に、少しショックを受けたおれは、すかさず片岡を見上げた。
おれは・・・それでも今日はあんたを選んだよ・・・
その一言が出ないまま、見つめ続けるおれをぐいっと胸元に引っ張り込むと、おれの後頭部を掌で優しく撫でる。
「ごめん・・・おまえはおれを選んでくれたんだよな・・・悪い」
「そうだ。おれは、あんたと一緒にいることを選んだんだ・・・だから弟たちのことは言うなよ・・・・・・」
甘い雰囲気は苦手だったはずなのに、今はとても心地いい。
安心してこいつのそばにいられる。

そのまま身を任せて目を閉じると、片岡が口を開いた。
「でも、圭には感謝だな・・・」
おれは無言で頷いた。
おれが帰らないのをどう説明したのかは知らないが、きっとうまくやったに違いない。
そういうやつだ、あいつは・・・・・・








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