新しい朝





第十ニ話
〜片岡side〜






「おれのこと・・・好き?峻哉も・・・おれが好き・・・?」





素直に心を開いた成瀬の乱れ様にたまらなくなり、夢中で身体を貪るおれにしびれを切らしたのか、繋がった瞬間成瀬がおれに訴えかけた。愛撫の最中、普段はほとんど呼ぶことのないおれの名前を連呼し、「好き」を繰り返す成瀬に、そういえばおれは一度も答えてやっていない。
実を言えばそんな余裕すらなかった。
ストレートに反応する成瀬をもっともっとキモチよくさせたい、その一心でひたすら身体をまさぐり続けていたから。

首をぐいっと引き寄せ、キスをねだる成瀬に、啄むようなキスの嵐をふらせると、少し潤んだ瞳がおれを捉え、返事を待っている。
少し舌足らずの、甘えた声が、いつもの成瀬とのギャップを生み、胸がしめつけられるほどの愛しさが押し寄せてくる。
汗で顔にへばりついた髪を指先ですくいあげると、なかなか答えないおれへの不安の眼差しが露わになり、たまらなくなったおれは、成瀬の頬に頬をすりよせた。
オトコとは思えないなめらかな肌を感じながら、おれも成瀬に応える。






「おれはいつだって言ってるつもりだが、おまえが望むなら何度だって言ってやる・・・亮・・・好きだ・・・とんでもなく好きだ。一生離したくないくらい・・・」





難しい言葉なんていらない。
ただ自分の素直な感情を伝えるだけの言葉だけれど、ウソのない本当の気持ちだ。




好きで好きでたまらない。かわいくて仕方がない。
照れて憎まれ口を叩く姿も、たまに見せる弱さも、家族を大切に思う気持ちも、そして今日のように素直におれにぶつかってくる真っ直ぐさも、成瀬の全てが愛しくてたまらない。

おれの言葉に、繋がった部分がキュンと締まり、ますます愛しさがこみ上げた。





「おれも・・・峻哉が好き・・・誰よりも愛してる・・・・・・」





今日何度目かの素直な告白は、おれを欲しがっているかのように聞こえた。





「亮・・・おれも愛してる・・・・・・」





ありったけの想いを込めて、寄せたくちびるで囁くと、成瀬がにこりと笑った。
それが合図のように、おれは律動を始めた。
背中にまわされた腕に力がこもり、火照った身体の体温がますますおれを煽り立てる。
一緒に感じようと動きに合わせて腰を振る成瀬の甘い声が聞きたくて、知り尽くした身体の最も感じる部分を攻めると、いつもはくちびるをかんで我慢するその口から、淫靡な濡れた声がひっきりなしに上がる。




「もっと・・・もっとして?・・・わからなくなる・・くらい・・・・・・」



途切れ途切れながらも、もっととねだる成瀬を、いろんな角度から攻め立てた。



「もっと?もっと・・欲しい?」



「・・んっ・・・んっ・・・やっ・・・・・・」



白いシーツに散らばる黒い髪も、快楽のあまり涙に濡れた顔も、おれの腰を逃がさないようにギュッと挟み込んだ足も、すがるものを求めて背中にまわされた腕も、成瀬の全身がおれを夢中にして止まない。
何がなんだかわからないくらいに乱れた成瀬を繋がったままの状態で何度もイカせ、おれ自身も成瀬の中で何度もイッた。
セックスの後は、むせ返るような熱気と、お互いが放った体液のにおいと、汚れた身体とシーツしか残らないけれど、それ以上に、心を満たしてくれる。
オンナを抱いた後は、ただ面倒だった時間も、成瀬と一緒だととても甘い時間に変わる。





おれ・・・マジでこいつに溺れてる・・・そう自覚する時間でもあった。







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