christmas serenade

甘い夜







第六話






どのくらい時間が経ったのか、凛には全くわからない。
立たせた膝はがくがくだし、額には汗がにじんでいる。
くちゅくちゅという淫猥な音だけが部屋に響いて、凛はうつぶせのまま、枕をギュッと抱きしめた。
身体の中を他人に探られるのは、もちろん初めてだ。
この日のためにと、何度か自分で探ってみたことはあったけれども、いつも指を数センチ入れただけで怖くて止めてしまった。
それでも何もしないよりかはマシだろうと、入り口部分にローションを塗りたくって、指先で広げたりしていたのだが、どうやらあまり効果はなかったようだった。
『きついな』と隆弘に言われたときにはどうしようかと思った。
もしこのまま諦められてしまったら・・・と不安になったけれど、全部触りたいと言ってくれた隆弘の言葉を信じて、自分の気持ちを素直に伝えた。とっても恥ずかしかったけれども。
それから隆弘は、凛の後ろをずっと弄り続けている。
恥ずかしい・・・その気持ちは凛の心からずっと消えない。
人間死ぬまで他人に見られないかもしれないあんな場所を、大好きな人に見られて恥ずかしくないほうがおかしい。
けれど、恥ずかしいのと同じくらい、嬉しくもあった。
時折指が掠める、とても気持ちのいい場所。
そこを擦られると、射精感とは違う別の感覚に襲われ、声を上げそうになる。
だけど、凛を傷つけないようにと、一生懸命あんなところをほぐしてくれている隆弘に申し訳なくて、凛はくちびるを噛み締めて快感に耐えていた。
「凛、痛くないか?」
何度同じことを聞かれただろうか。
「う・・・ん、だ、じょ・・・ぶ・・・・・・」
決して痛いわけじゃないのに、声を我慢しているから途切れ途切れになってしまう。
すると、後ろからもう一方の隆弘の手が伸びてきて、くちびるを撫でられた。
「くちびる、噛み締めるな。ちゃんとおれに声を聞かせてくれ」
そのまま無遠慮に指先が凛のくちびるを分け入ってくる。
その瞬間、あの部分を指先が掠め、凛は思わず声を上げてしまった。
「やっ、ぁ・・・・・・ん・・・・・・」
こことばかりに指先が歯列を割り口内に入り込み、舌に絡まってくる。
「は・・・ぁ・・・はぁ・・・・・・ん、ンッ・・・・・・」
口を閉じることもできず、凛は濡れた声を上げた。
チュクチュクという水音が、恥ずかしい部分の音なのか、愛撫される口内の音なのか、もはや考える余裕もなく、凛は感じるままに嬌声を響かせる。
触られていないのに硬くなっている前からは、とろとろと蜜が流れ、シーツに染みを作っていた。
「も・・・もうだいじょ・・・だから・・・・・・」
意識したわけじゃないのに、ねだるように尻を揺らして隆弘を誘う。
経験のない凛にはひとつになるということがどういうことなのか、残念ながらわからないけれど、溶け合いたいと思った。
隆弘とひとつになって、形がなくなるくらいにどろどろになりたい。
そのためには、早く隆弘に挿ってきて欲しい。
「凛のこんないやらしい姿見せられて、おれもそろそろ限界だ」
いやらしいと言われて感じてしまう自分はやっぱりおかしいのだろうか。
「いやらしいの・・・キライ・・・・・・?」
隆弘に任せると言ったくせに、我慢できないとばかりに腰を振ったことをはしたないと思われただろうか。
隆弘が欲しいと思ったのは事実だが、淫乱だと思われたのならとても悲しい。
だけど隆弘はそんな風には思っていないらしい。
「いや、いやらしくおれを欲しがる凛を、もっともっと好きになった」
「あっ・・・っ・・・・・・」
隆弘は凛の後ろから指を引き抜くと、すっかり膝が沈んでしまっている凛をひょいと抱え起こすと、正面からギュッと抱きしめてくれた。
少しの間離れていただけなのに、触れ合う素肌が懐かしく、凛もギュッと隆弘に抱きついた。
隆弘の身体を挟んで膝立ちの格好になって、何度もキスを交わせば、膝立ちの分だけ凛の方が顔の位置が高くなる。
そのまま胸で隆弘の頭を包み込むように抱き締めると、隆弘が胸の尖りにいたずらを仕掛けてくる。
「隆弘さ・・・や・・・だ・・・・・・」
しばらく放っておかれた突起への愛撫はさらに凛をぐずぐずにさせた。
「ふ・・・ぅ・・・ンァ・・・・・・・」
左右を交互に舌先と指先で捏ねられ弾かれて、たまらなくなり凛は膝を折った。
座り込んでしまった瞬間、硬く当たるものを感じ、凛は隆弘を見上げる。
「凛、おれを気持ちよくしてくれるか・・・?」
確かめるまでもなく、それはすっかり勃起した隆弘で、凛はカッと赤くなった。
気持ちよくできるだろうか?
隆弘を満足させられるだろうか?
だけど凛自身も隆弘が欲しい。
凛は頷いた。
「じゃ、少し腰を浮かせて?」
小さなキスを頬に感じながら、とんでもないことを言われた気がして、恐る恐るたずねてみる。
「え、お、おれが、挿れる・・・の?」
「イヤか?」
「イヤじゃない・・・けどおれっ―――」
「大丈夫。ちゃんと手伝うから安心して。おれの言うとおりにしてれば出来るから」
凛は言われたとおりに腰を浮かせ、後ろ手に勃起した隆弘に触れた。
いつの間にかきちんとゴムがつけられ、ローションでぬるぬるに濡らされている。
凛の身体は余すところなく隆弘に触れられ、初めての快感に溺れてしまったけれども、隆弘はどうだったのだろうか。
凛は隆弘の口淫でイかされたけれども、凛の口淫は中途半端に終わっていた。
それなら今度は凛の番だ。
隆弘によって凛の尻の割れ目に手を添えて広げられて、指で蕩かされて熱を持ったそこにひんやりした空気を感じ、凛は少し躊躇ってしまう。
隆弘を受け入れたい気持ちでいっぱいなのに、やはり怖い。
異物を排出する器官であっても、何かを受け入れる器官ではないし、臨戦態勢お隆弘のそれは、驚くほどに大きかったから。
「凛、大丈夫。おれを信じて・・・?」
そう、身体に感じるぬくもりは、大好きな隆弘のもの。
そして、受け入れるのも大好きな隆弘。
怖いことなんか・・・っ!
凛は意を決すると、ゆっくりと腰を落とした。
「ウッ・・・ァ、・・・・・・っ・・・・・・」
指とは比べ物にならないくらいに大きくて熱い肉欲が凛を貫く。
「そう・・・上手だ・・・・・・」
ギュッと抱き締められたまま、あやすように髪や背中を撫でられると、少々の痛みも我慢できた。
「ゆっくりでいいから・・・ゆっくりな・・・そう、息吐いて・・・・・・」
「はぁ・・・ぁ・・・・・・」
思ったよりも凛はスムーズに隆弘を受け入れることができた。
本で得た情報では、もっと困難で時には裂けて流血することもあるらしいのに。
きっと隆弘がかなりの時間をかけて解してくれたからだろうことが凛にも理解できた。
「よく頑張ったな・・・」
隆弘の優しい声に凛は閉じていたまぶたを開いた。
「ぜん・・・ぶ、入った・・・?」
隆弘がキスで返事をくれる。
後ろが目いっぱい広がっているのを自覚して、隆弘とひとつになれた嬉しさで胸がいっぱいになる。
「隆弘さん・・・好き・・・・・・」
恥ずかしくてまっすぐ目を見ては言えなくて、凛は隆弘にギュッとしがみついた。
「好き、すごく好き、どうしようもないくらい―――ン・・・・・・」
せっかくの告白も隆弘のくちびるで閉じ込められてしまった。
「それ以上可愛いこと言うと、優しくできなくなるぞ?」
鼻先にキスされて、凛は笑った。
「いいよ?我慢なんかしなくてもいい。隆弘さんの好きなようにして・・・?」
その瞬間、凛の視界はぐるりと回転していた。















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