one summer day



<3>



川原でのバーベキュー。
青空の下での食事。
ジュージューと肉の焼ける音。
香ばしいにおい。
食欲をそそるはずなのに、一向に箸が進まない。
「優くん、こっちのお肉もおいしいで〜ほら」
甲斐甲斐しく、麻野の皿に焼けた肉を乗せる崎山。
友樹を含むオトコ三人は、オンナの子三人と、仲良く談笑中。
なんでおれだけ、ひとりなんだよっ!
どうせ運転しないから、ガンガンにビールを空けてやった。
自棄酒ってやつか?
「先輩・・・」
見上げると、麻野が紙皿を持って立っていた。
「この魚、ぼくが釣ったんですよ?先輩、お肉よりお魚でしょ?これ、食べてください」
差し出された皿を受け取ると、うれしそうに麻野は笑った。
「先輩、昼間っからあんまり飲んじゃだめですよ?」
おれの足元には、潰された空き缶数本が散らばっていた。
「優くんっ、そんな酔っ払いほっといて!もっと食べやなあかんよ」
崎山が寄ってきた。
「こいつはな、大学でモッテモテやからたまにはひとりでおったらええねん。野菜こげるさかい、はよ食べよ」
おれのそばにいろよと言いたいが、おれはこんな時もいい顔をしてしまう。
「おれはいいから・・・麻野はたくさん食べてこいよ」
あぁ・・・やっぱり来るんじゃなかったな〜








「―――んぱいっ、三上先輩ってば!」
頬をぐいっと抓りあげられて目が覚めた。
「こんなとこで、何寝てるんですか!」
友樹が目を吊り上げて怒っている。
そうだ、あれからもビール数本あけちまって、眠くなって、車で横になって・・・
「大変っすよ!優が崎山さんにどっか連れてかれた!」
おれは慌てて起き上がった。
「―――はあ?」
「用足しにても行ったのかな〜って思ってたけど、ふたりともいなくなってて―――」
最後まで聞かず、おれは車を飛び出した。
崎山〜〜〜!麻野に何かしたら、ぜってー許さねえからな!
麻野が傷つくようなことがあったら、おれの責任だ。
メラメラ嫉妬の炎燃やして酔っ払って・・・・・・
川原を上流に向かって走る。
しばらく走ると、こちらに向かってくるふたりの姿が見えた。
なんだか、なごやかな雰囲気に、おれは岩陰に隠れた。
楽しげに通り過ぎるふたりに、声をかけることもできなかった。
まさかまさか・・・両思い・・・なんてわけないよな?
けど、なんなんだ?あの雰囲気は・・・・・・?
おれはしばらくその岩陰に座り込んでいた。







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