one summer day



<2>



待ち合わせの場所に行って驚いた。人数が・・・少ないのだ。
オトコ3人オンナ3人、そしておれと麻野と友樹。
「じゃあ、くじ引きで、2台にわかれましょう〜」
崎山は、用意周到にくじをつくっていやがった。
「はいっ、出発!途中スーパーで買出しに寄りま〜す」
麻野はちゃっかり崎山の運転する車の助手席に乗せられ、おれは友樹ともう一方の車に乗せられた。
引っ込み思案の麻野が知らないヤツらばかりに囲まれているのが心配で、スーパーに着くやいなやあわてて麻野のところに寄っていったおれは意外な言葉を聞いた。



「先輩のお友達って、みんなすっごくいい人ばかりですね。初対面なのに、たくさんおしゃべりできて楽しいです」



いいヤツばかりなのは認めるが・・・・・・



「特に崎山さんって、関西弁でギャグいいまくってて、面白いですよね」



そう、崎山は関西人なのだ。ヤツの武器は、その話術なのだ。
楽しそうに笑う麻野を見るのはうれしいけれど・・・複雑な気持ちだ。






そして、その崎山と釣りを楽しんでいる麻野。
それをうらやましそうに、でかい岩にすわって眺めているおれ。
また一つ溜息がもれた。
オンナの子たちは、最初にまとわりつかれたときにキッとひと睨みしてやったら、近づいてこなくなった。
悪いかなとは思ったけれど、ベタベタされているのを麻野に見られたくはなかったから。
なのにおれは、崎山と楽しそうにしている麻野を目の前にしている。



「先輩っ、いいんですか〜優取られちゃいますよ〜」
友樹がニヤニヤしながら意地悪くおれを挑発する。
この友樹ってヤツは、おれの気持ちに気づいているのだろうか?
「取られるも何もないだろ?麻野が楽しいならいいじゃんか」
「そうですか〜?ならいいんですけどね!」
楽しそうな笑みを残し、バーベキューの準備にてんてこ舞いの女子大生に寄っていく友樹を見送った後、視線を麻野に戻す。



麻野っ、そんなに笑いかけるなっ!崎山が勘違いするだろうが!
崎山っ、気安く麻野にさわるなっ!



きっとおれが、崎山のようなキャラだったら、そう言ってふたりの中に割って入ったに違いない。
けど、おれにはそんな芸当ができるはずもなく、ただ黙って見ているだけだった。






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