one summer day
<2>
そして、その崎山と釣りを楽しんでいる麻野。
それをうらやましそうに、でかい岩にすわって眺めているおれ。
また一つ溜息がもれた。
オンナの子たちは、最初にまとわりつかれたときにキッとひと睨みしてやったら、近づいてこなくなった。
悪いかなとは思ったけれど、ベタベタされているのを麻野に見られたくはなかったから。
なのにおれは、崎山と楽しそうにしている麻野を目の前にしている。
「先輩っ、いいんですか〜優取られちゃいますよ〜」
友樹がニヤニヤしながら意地悪くおれを挑発する。
この友樹ってヤツは、おれの気持ちに気づいているのだろうか?
「取られるも何もないだろ?麻野が楽しいならいいじゃんか」
「そうですか〜?ならいいんですけどね!」
楽しそうな笑みを残し、バーベキューの準備にてんてこ舞いの女子大生に寄っていく友樹を見送った後、視線を麻野に戻す。
麻野っ、そんなに笑いかけるなっ!崎山が勘違いするだろうが!
崎山っ、気安く麻野にさわるなっ!
きっとおれが、崎山のようなキャラだったら、そう言ってふたりの中に割って入ったに違いない。
けど、おれにはそんな芸当ができるはずもなく、ただ黙って見ているだけだった。
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