I wonder which horse Victory
will smile on





<4>


〜side



ピピピピピピ・・・・・・
聞いたことのない電子音が遠くで鳴っている・・・・・・何の音かな・・・・・・?
あっ、止まった・・・・・・
何だかふわふわあったかいな〜
「・・・う?ゆう?ゆうく〜ん?・・・」
名前を呼ばれてる・・・誰だ・・・?ん?誰って・・・
ぱちっと目が覚めた。視界いっぱいの人肌。
「はよっ、優」
頭上から声がして、見上げると、にこっと笑う先輩の顔。
「お、おはようございます・・・」
ぼくは、いつまでたってもこの朝のシチュエーションになれることができない。
恥ずかしくてくすぐったい、でもとっても幸せな気分。
肌を重ねるって、ほんとにキモチいい。
プラトニックラブもいいけれど、こうやって好きな人と夜を過ごすと、さらに愛しさが増していく。
お互いの全てをさらけ出して、共に昇りつめていくあの瞬間は、なにものにも変えがたい、幸せの刹那なのだ。
「優、どう?身体は大丈夫?」
下半身を動かしてみると、少しだるさはあるものの、何とかなりそうだ。
「大丈夫です」
昨日は、優しく優しく愛してくれた。
いつもみたいに意地悪も言わなかったし、とてもキモチよかった。
先輩は、一回でやめたけど、あれでよかったのかな?
だけど、朝っぱらから聞けないよ、一回で満足できましたかなんて!
先輩と同じ高さまでもぞもぞと這い上がり、やっと真正面から先輩の顔を見ることができた。
ふふっと笑いあい、どちらからともなく、キスを交わす。
ふれるだけのキスを何度も何度も。
こういう、じゃれあいの時間さえも、先輩と過ごすことができることに感謝する。
いつまでもこの幸せが続きますようにと・・・・・・
交代でシャワーを使い、身支度を整えて朝食を取るためレストランに向かった。





バイキング形式の料理は、とても豪華でおいしくて、何度も何度もおかわりした。
特にカットフルーツの種類が豊富で、ぼくたちはここぞとばかりにメロンばかりをとりまくり、ちょっと顰蹙をかった。
「バイキングなんだから、好きなものを好きなだけ取っていいんだし、文句いうほうがおかしいよな」
そう言って、ぶしつけな視線を浴びても、かまわずひたすらメロンを食べた。





ホテルをチェックアウトして、競馬場へと向かう。
ここ新宿から、電車で一直線。特急だと、20分で着くらしい。
車内は、競馬新聞を広げた人で満員だった。
どこからともなく聞こえる会話に耳をそばだてる。
ゴッチャンの名前が混じっていると、自分のことのようにドキドキする。
あれ?ぼく、いつからか、ゴッチャンて呼んでる・・・・・・
ぼくは、ほんと先輩の影響を受けやすい。
いつも先輩のペースに流されてしまうけど、それはそれで楽しくて心地いいから、ぼくは納得してしまう。
満員電車の中、ぼくを守るように身体を寄せてくれている先輩のにおいにつつまれ、昨夜のことを思い出してしまった。
先輩、なんていやらしいやつだって思わなかったかなぁ。
昨日言った先輩の言葉。



―――東京にいつか出てきたい―――




それは、先輩の夢なのに、無性に淋しくなって、先輩をこの身体に感じたくなった。
必死で先輩のくちびるを吸った情熱的なキスの後、もうたまらなくなって、自分からねだってしまった。
先輩は、ぼくのことを考えて、我慢していたのに。
ぼくって、自分で思っているよりも、淫乱なのだろうか・・・?
淫乱・・・インラン・・・いんらん・・・
先輩にそんな風に思われたら、もう生きていけない!

おまけに、自分ではどうしようもなくなっているので、わかんないけど、終わったあとの先輩の話を総合すると、ぼくはかなり乱れている・・・らしい。
いつも、次の日、のどが痛いってことは、スゴイ声を出しているのかも・・・?
えっちをするたびに、今日こそ冷静にって思うんだけど、キスをされた時点ですでに自分がわからなくなってる。
キモチよくてたまらなくて、きっと恥ずかしい姿を先輩に見せているに違いない。
なのに、やめられない。もっともっととねだってしまう。
やっぱり、淫乱なのかも・・・
でも、あの時、友樹に借りた本の受け?ってヤツはみんなそうだったような・・・・・・
「優、降りるよ?」
えっ?もう着いたんだ。
やっぱりヘンことばかり考えてるぼくは・・・やらしい。
「どうする?乗り換えて正門前まで行く?それとも歩く?」
「たくさん食べたから、散歩しながらいきましょう」






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