1.扶持と年収
 2.石高と年貢(成物)
 3.米価


18石3人扶持】とは、仮に男2人、女1人で計算する
  18石は :「固定給」
  扶持米は:「扶養手当(家族手当)」のようなもの
       ※家族や使用人の数の変動により増減
<計算> 男は1日5合(女は3合)の計算で、
  5合×2人×360日=3600合=360升=36斗=36/4=9俵=3.6石
  3合×1人×360日=1080合=108升=10.8斗=10.8/4=2.7俵=1.08石
結局、18石「固定給」+3.6石+1.08石「扶養手当」=22.68石=56.7俵
 精米すると6割とし、年間34.02俵で生活した(現在なら30kg包み68本)。生活物品は米を銭に変え購入する必要がある。札差の場合、100俵につき金1分(1両の1/4)の手数料を取られた。( 2.5俵で1石 / 1俵は4斗でほぼ60kg / 1石は150kg )

【現在の年収と比較】
・18石3人扶持:米1俵の値段[こちら]は銀25匁(もんめ)→34.02俵は銀850.5匁、小判で14両と銀10.5匁(年収)。但し、1両(銀60匁)で7万5千円(ネットでは1両を7万5千円としているのが多いようだ、13万もある)。1匁が1250円だから、850.5匁×1250円=年収106.3万円(★月給なら金1両と銀10匁ほど)(1両を10万円で141.7万円、1両を13万円で184.3万円)となる。
・『必殺仕置人』同心の中村主水家(俸禄は30俵2人扶持):30俵+4.5俵+2.7俵=37.2俵 これを精米して37.2×0.6=22.32俵 22.32俵×25匁=558匁=金9両と銀8匁=69.75万円 /年収 (120.9万円:1両=13万円で) 100坪ほどの住宅が与えられているとはいえ非常に厳しい生活だ。実際は諸大名家や町屋からの付け届け(謝礼、贈り物など)などで、その数倍の実収入があった者も多いと。中村主水の母が小判1両を見て飛び上がるのが納得いきます。
・『文政年間漫録』によれば、大工の日当が銀5匁4分(★月給なら2両と銀10匁ほど)で、今でいえば6750円(1万1702円)、年間294日働いて年収1587匁6分で、26両と27匁6分となる。結局、年収198万円(344万円)。( )は1両を13万円としたとき。大工の棟梁(彦根藩の例)などは高給取りなんだ。
▼下級武士の18石3人扶持は、かなり侘しい生活だ! 下級武士なんかやるものでございません! 商人となり一旗揚げた方がよいのかも

松原家220年後、80石の知行取では、年間80石×2,5=200俵 これを精米して200×0.6=120俵 120俵×25=3000匁=3000÷60匁=375万円=金60両/年間、これで大分生活は楽になりましたか(1両を13万円としたときは650万円)。


【石高と年貢(成物)】中田を例に年貢の計算
 近江国蓮台寺村 の年貢 村高(1反に付き1石5斗)×0.46:225×0.46=103.5kg
 京都 岩倉村 の年貢     1反に付き1石2斗   :150+30=180kg
 (ただし、1石は2.5俵、1俵を60kgで計算、1石は2.5俵×60kg=150kgとした)
▼1反に付き、30kg包み(←現在の単位)3.5~6本(103.5~180kg)の年貢となる。
 ところで、現在の1反あたりの米の収穫は30kg包みで17本(510kg)ほどか。江戸期の米作は、耕作や水・肥料等の状況が悪いので0.47倍して(太平洋戦争前の普通の田は1反あたり2石2斗から、江戸期1石6斗(240kg)として:根拠に乏しい)、収穫は両村中田で8本(240kg)とする。このうち30kg包みで3.5~6本の年貢となると、村の残り2~4.5本(勿論年間で!)。
▼結果、1反に付き:蓮台寺48~岩倉75%(蓮台寺115~岩倉180kg)の年貢となる。(★岩倉村には別収入があるが、非常に厳しい結果となる。江戸期1石2斗とすると全ての米を年貢に取り上げられることになる)ただ、米の裏作もけっこう行っていたようだ。裏作は年貢にとられない。


【米 価】 (10kgあたりの東京標準価格 単位は円)
年号明治大正昭和平成
010510253035404505101505101520212225304050601020
米価(円)0.400.260.370.490.790.841.091.380.912.052.521.662.042.896.036.41504457651230249537643735(3800)
そば・うどん一杯5厘~1銭5厘~1銭5厘~1銭1~2銭1~2銭2~3銭3~4銭3~4銭 8~10銭8~10銭8~10銭10~13銭15銭   15円30円50円200円330円460円580円
社会情勢 M2 全国農民一揆  M29
M30
凶作
 M40 戦後恐慌  T8
8月
米価暴騰
T12
関東大震災
S4世界恐慌S6満州事変S14世界大戦勃発S16真珠湾攻撃  S25朝鮮戦争    H9消費税5% 
参考資料:「標準日本史年表」(吉川弘文館)「農林水産省百年史」、「食糧管理統計年報60年版」、「米穀に関する資料」(全国食糧振興会)、「検査のあゆみ」(静岡食糧事務所)など

◎平成20年の米価のデータなし、平成17年の米価は4080円、平成22年の米価は3478円、平成27年の米価は3946円、予想で3800円。★(現在:令和2年1月)最近35年ほど、米価はほとんど変化がない。