1 猪名川町の自然環境(要約)

1.1 猪名川町の概要

猪名川町は、日本列島のほぼ中央に位置する兵庫県の、南東部を流れる猪名川の源流域に開けた町で、その昔、多田銀銅山で栄えたところである。古い時代は合戦や大きな争いの少ない地域で、悲惨な災害の記録も少なく、奥川辺の秘境として、その自然を今に伝え昭和32年に町域の約79%が猪名川渓谷県立自然公園に指定されている。

近年阪神間のベットタウンとして大型団地や、都市近郊のゴルフ場の開発があいつぎ人口が急増し、昭和30年に六瀬村と中谷村の合併により町として発足した当時の3.9倍の30,000人余と急増している。

町では今、「人・然・文化」の調和を基本理念に、”人と自然がやさしくとけあい、未来に輝くふるさと猪名川”を将来像として、先人から受け継いだ豊かな自然を守り、自然と人との共生を計り、このかけがえのない自然を次代に引き継ぐため「清流猪名川を取り戻そう町民運動基本構想」のもとに諸施策が計画されている。

1.2 位置と地形
 
 猪名川町は、中国山地の延長部にあたる、丹波山地南西端の摂丹山地に位置するが、一般には大阪平野に接する部分一帯を北摂山地と呼んでいる、その西端のところである。東は大阪府能勢町、南に川西市、西は宝塚市と三田、北に篠山市と五つの市町に接し、川辺郡を1町で構成している。

地形は、北からほぼ南南東に蛇行しながら流れる猪名川に沿って、帯状に連なる平坦部と、その周囲に起伏した北摂の山々とで形成され、北に最高地点753mの大野山があり、南は標高の最低地点で66m、となっている。町総面積の約80%を山地が占めている。

1.3 地層

猪名川町域は、地層系統ではその基盤岩は西南日本内帯の丹波帯に属する地域である。東側は兵庫県中部から、京都府丹波地方にかけて広く分布する古生代〜中生代の地層の丹波層群で、それを貫いて噴出した、有馬層群が西側に分布している。その他大阪層群が丘陵地に、沖積層が川沿いの平坦部に分布している。

1.4 気候

緯度・経度から見ると、日本のほぼ中央に位置する兵庫県は、気温、降水量など気候的要素は平均的値を示すと言われている。その兵庫県の中の東南部に位置する猪名川町は標高や緯度、地形によって瀬戸内型と内陸型気候を併せ持つ二面性気候が見られるため、植物の種類も多く見られる。