”フィールド・オブ・ドリームス”の原作 「シューレス・ジョー」 "Shoeless Joe" フィールド・オブ・ドリームズの原作「シューレス・ジョー」は、アイルランド系カナダ人の作家W・P・キンセラにより1982年に出版された。 主人公はレイ・キンセラといい、作者は自分と同じ姓を名乗らせている。そして登場人物には、シューレス・ジョー、J・D・サリンジャー(映画ではテレンス・マン)、ムーンライト・アーチー・グラハムなどの実在の人物を多数登場させている。 シューレス・ジョーは、1919年のアメリカ大リーグのワールドシリーズで快進撃を続けたシカゴ・ホワイトソックスのスラッガーで、八百長の疑いをかけられて、絶頂期にもかかわらず他の選手とともに永久追放処分をうけている。 1960年代に活躍して今は沈黙を守っているテレンス・マンという黒人作家が登場するが、これは原作ではJ・D・サリンジャーとなっている。サリンジャーは1951年に「ライ麦畑でつまえて」を出版し世界に衝撃を与えたが、1965年を最後に世間から隔絶し隠遁生活を続けている。 また、ムーンライト・アーチー・グラハムについては詳細は不明であるが、1905年にニューヨーク・ジャイアンツ(現サンフランシスコ)で守備要員としてわずか一試合に出場しただけの無名の大リーガーとして、ちゃんと記録に残されている。 原作「シューレス・ジョー」 と ロードショーの映画パンフレット 映画は、ほぼ原作通り忠実に映像化されているといっていい。 登場人物として違うのは、サリンジャーという実在の人物がテレンス・マンなる人物に代わっていることと、登場人物を減らし、複雑な人間関係をすっきりした形に整理しているところにある。 シカゴ・カブスに在籍していたとホラ話をするうち、いつの間にか頭の中で現実となってしまったエディ・シズンズ老人。 レイの球場では若かりし時代の彼がピッチャーとして試合のマウンドに登っている。エディ老人も大リーガーを目指し夢半ばで倒れた一人なのである。 エディ老人はドクター・グラハムとかぶるところが多く、映画の中の役割としてグラハムに吸収されたようだ。 また、レイには双子の兄弟がいる。原作の中でレイは家を飛び出しておらず、父親を看取り、最後までシューレス・ジョーの話を聞いている。家を飛び出して音沙汰がないのは兄リチャードのほうだ。 家出したのち、サーカス団と生活をともにし、20年もたってからジプシーの女を連れてひょっこりレイの前に姿を現している。これから始まるなにか(つまり自分達二人の父親が野球場に現われること)に引かれて、帰ってきたのだという。 映画のレイは、原作のなかのレイとリチャードの合成である。 また、原作は文庫本で380ページに及ぶ大作であるが、映画は約2時間ですべてを語らなければならない。そのため、レイが野球場を作るときの苦労や旅の途中のエピソードはすべてカットされている。その一方で、テレンス・マンが隠遁生活を続ける理由やレイが父親に寄せる思いなどは、とてもシンプルに表現されていてわかり易くなっている。 |