2003-12-14 Sunday
We got him.
 
 CPAのブレマー代表が日本時間12月14日午後9時、バグダッドで記者会見したときの冒頭のひとことである。
 
 サダム・フセインがようやく捕縛された。イラク国内におけるテロリストのスポンサーであり、心的支援者であった元大統領の身柄拘束によって彼らの求心力を失わしめることは必定で、今後のテロ活動に影響を及ぼすことは必至である。
テロ活動が幾分でも縮小されれば治安も回復軌道にのり、治安が回復すれば経済復興にもはずみがつき、経済復興が進めばイラク国民が職をえる道すじもつきやすくなる。そうなれば、ますますテロリストの居場所も狭まろう。
 
 もっとも、テロリストのなかにも筋金入りのイスラム教徒がいて、彼らはテロを異教徒である米国と、米国の支援国に対する聖戦ととらえているから、サダム・フセインが拘束されようがされまいがテロ活動をつづけると思われる。テロが沈静化に向かうのは‥早くても今世紀半ばではあるまいか。ルールを自分で決める彼らは、欧米が描く単純明快なシナリオにはおいそれと乗ってこないから。
 
 それにしても、と今更のように思うのは、小泉さんは強運の人であるということだ。自衛隊派遣も(フセイン拘束で)イラク国内の治安が徐々によい方向へ向かってくれればやりやすかろう。国連も今後の活動に対する見通しがつきやすくなろう。国際社会の展望がひらけ、風通しがよくなるのであってみれば、日本政府にとってもプラスとなる、プラスにせねばなるまい。
 
 風が吹けば桶屋が儲かるといったように簡単にいくわけのものではないが、小泉さんにとってフセインの拘束は悪い話ではない。国の内外できょうからまた新たな展開があり、さまざまな問題が次から次へと生じるので、決して予断を許すような状況ではないのだが、まずは一山越えた。
行く手には峻険な山々がそびえていて、体力と知力のかぎりをつくして山越えをする人、途中で挫折する人、強運に守られて飛び越えてしまう人がいる。明日が今日より良い日であることを願う。

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