2005-04-01 Friday
摂氏6度の競演
 
 2005年度プロ野球ペナントレースは、きょうセリーグの開幕でセ・パ両リーグがそろいぶみした。昨年なにかと物議をかもした合併問題、一リーグ制云々ではあったが、結局のところ野球ファンの意向が反映され、球団側と選手会のあゆみよりによる収束という好結果をもたらした。
 
 本日の注目ゲームは、余人はいざ知らず、なんといっても仙台のフルキャスト・スタジアム宮城でおこなわれた西武対楽天戦である。気になるのは午後6時を回ってからの当地の気温、昨日の予報では摂氏7度ということであったが、ほぼ予報通りの気温で摂氏6度台。その気温でおよそ3時間のゲームを経験したことのある選手はすくなかろう。
 
 打ったり投げたり走ったりしている選手は身体もあたたまるが、球のあまり飛んでこない外野を守っている選手は寒かろう。身体が芯から冷えて、守備や打撃に悪影響をあたえることになりはすまいかと思ったら、やはり前半の守備で、両チームの外野手がなんでもないフライを落球するというミスを生むこととなった。
 
 しかしこれは、きょうだけのご愛嬌のようなもので、明日以降はそういったこともなくなるだろう。そんなことを何度も繰り返すほど選手の身体はヤワにはできておらず、寒さにもすぐ慣れるであろうし、寒いなかでの野球観戦とあってみれば、勝った楽天ファンには、寒かったのも話のタネとなり、勝利の美酒もさぞうまかろう。楽天ファンは仙台にだけいるのではない、旧近鉄ファンが関西から数多く来ているのだ。
 
 テレビ観戦していた私はアテネ五輪以来、本日先発の岩隈贔屓となり、西武の先発が松坂であったら、両方を応援しなければならないハメとなっていたのであるが、松坂が先発でなくてよかった。アテネ五輪の対オランダ戦に先発した岩隈は、国内のゲームでは見せたことのない般若のごときすさまじい形相は、いまなお私の記憶にはっきり残っていて、球界ナンバー・ワン投手の座を争っている者でも、五輪となれば異様なまでの緊張を強いられるのだなと感心することしきりであった。
 
 今夜の岩隈の着用したホーム用ユニホームが見事に似合っていた。楽天のホーム用のアンダーウェアと帽子の色は、あずき色というか葡萄色というか、まことに渋く落ちついた色のように思えて、色白の岩隈には似合いの色なのである。岩隈の頭髪がやや長目なのも一役買っているのかもしれない。その岩隈の鼻が寒さゆえか妙に赤かったのが印象的であった。

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