2004-06-29 Tuesday
すたこら さっさ
 
 やるなら早いほうがよい。事と次第によっては後回しにしたほうがよいこともあるが、夏休みの宿題などは後回しにすると厄介である。それでも後回しにする子供は後を絶たず、8月31日が近づいて大あわてする。いつの間にかおとなになっても、子供の頃の性癖の変わることはないから面白い。私は夏休みに入るやいなや宿題はさっさと片づけた。
しかし、絵日記にその日の天気をつけるとき、吉野の森(奈良県)に2〜3週間滞在したときなどは、正確に書いたこともあれば、うっかりつけ忘れていいかげんに書いたこともある。
 
 人生万事塞翁が馬、福がまわり回って災いとなることもあれば、災いが転じて福となることもある。両者のちがいはほんのわずか、毛先ほどのちがいである。あわてなくても、いつか必ずお迎えは来る。この世にお迎えの来ない人はいない。それだけは万人みな平等、早起きは三文の得、死にいそぎは三文の損である。人生の宿題は夏休みの宿題より締め切りがおそい。
 
 悩みの淵に立たされて、にっちもさっちも行かなくなったとき、下手にじたばたするより何もしないほうがよいこともある。何をいっても、何もいわなくても結局、じたばたせずにはいられない人もいつの日か気づくだろう、じたばたした遠い日、じたばたしたことで背負った荷物の増えたことを。
動けば動くほど窮地に立つということもある。迷ったときは、下手な考え休むに似たり、三十六計逃げるにしかずである。
 
 英米両国は一応、形の上にせよイラクに主権委譲した。国連決議の日取りは30日ということであったが、予定を繰り上げて28日に前倒ししたのは、巷間いわれているがごとく、過激派組織からの妨害攻撃を回避するためであろう。
「We got him」のブレーマー氏も用が終われば用はなし、すたこらさっさと帰路についた。居れば目障りであろう、イスラム過激派にとっては。いないならいないで、要らざるもめごと、紛争のタネをまかずにすむというものだ。夕焼けこやけで日が暮れて、山のお寺の鐘が鳴る‥。
 
 人生の岐路にいるかもしれないあなた、そして私、まごまごウロウロしているうちに日は暮れた。なに、暮れない日などない、さっさとねぐらに帰って骨休めするのが功徳というものだ、人生の宿題は難問珍問だらけ、やるなら早いほうがよいとはいえない問題もあって頭が痛いけれど、後回しにしても、いつかそのうち時間が答えを見つけてくれるかもしれない。
人生は天気予報のようなもの、当たることもあれば当たらないこともあり、当たらなかったからといって嘆いても日は暮れて、また明日がやって来る。日々あたらしく日々古く、そういう日々のなかで私たちは、時にはすたこら さっさと退散せざるをえないこともあり、総じて危機を回避しながら日々を過ごしてゆくのである。

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