江藤前農水大臣は近年で最低の大臣である。票と献金欲しさに農業従事者や団体にいい顔をする。国民を見ない国会議員は常にいるが、江藤は政府の早期備蓄米放出に反対し、放出がおくれたなどとみっともない言い訳をした。遅刻常習の小学生にも劣る。挙げ句の果てに「米は買ったことがない。米は売るほどあります」。
これをうすらバカと言わねば、愚鈍な国会議員は大手を振って闊歩する。備蓄米は古米、古古米ではないか。備蓄米には古古古米というのもあるらしい。古米や古古米などを安く設定し売りさばくという決断を小泉進次郎氏以外の国会議員の誰がなしえたろう。
決断するだけでも値打ちがある。ファーストペンギンになる勇気。入札で「政府が儲けてどうする」と小野寺五典氏は言った。まさに。随意契約を導入する勇気、行動力が小泉氏以外の政治家にも存在するという議員がいれば名乗り出てもらいたい。
講釈をならべ立て偉そうにしているジャーナリスト、メディアの連中がちょっとでもそんなことを発案したか。評論家ぶって高見の見物をしていただけではないか。生活感覚の豊かな人は、備蓄米と新米の価格差は選択肢が広がると賛同している。ふつうの感覚でもそういう判断をする。
ところが、「選択肢が広がる」の意味を理解していない者、おおむね若いタレントが聞きかじりを言う。高価なブランド米しか買わない消費者もいれば、新米ならブランド米でなくてもかまわない消費者もいるし、家計の都合で古米や古古米でOKの消費者もいる。それが選択肢。
備蓄米の価格に幅があり、新米にも価格差がある。安い備蓄米が出ても量に限界があるからそのうち底をつく。ことし収穫予定の新米もブランドによって価格差があり、昨年と較べれば高値で推移するだろう。
自民党議員のなかには部会(自民党)に諮らず小泉氏がひとりで決めたと文句を言う者もいる。随意契約の件は自分が知らなかっただけだ。81歳の老人のたわごとである。小泉氏は自民党幹事長の諒解を受け発表した。部会なんかに諮っていればまだ何も決まっていなかったろう。
小泉氏の実行力に対して、農政に露ほどの関心がなかった者までも評論家を気取り、あれこれ評する。JAを擁護するのは許容できるとしても、高値で米を買い、価格がもっとつり上がるまで倉庫に隠している仲介業者は許しがたい。
君らは日本人か。よもやチャイニーズでは。背景に見えるのは、米を支配できれば食を支配でき、ひいては日本を支配した気になるという単細胞的発想。
小生は産地の異なる新米を数種類、食べ較べた経験があり、20年前から東北の生産農家から購入していた。料金は生産農家の代理店(通販)に支払う。仲介業者を通さない購入方法。新米価格は20年間で5キロ2300円から3200円に上がった。代金のほかに支払う配送料も500円から1000円になった。それでも安いと思ってきた。銘柄は山形鶴岡産のコシヒカリ。
当時、大学の同好会「古美研庭園班OB会」が発足し、発足に功績のあった女性が、「山形のお米、おいしいですよね」と言っていた。小生もおいしい山形のお米を食べていたので、おいしいよと言った。南魚沼のコシヒカリもたまに食べた。ところが、甘み、ねばり、炊きたての香り、ピカリと光る美しさ、いずれも両者に差はない。
新米でもブランド米の値段は5月末、宝恷s内のデパートで5キロ5200円〜6300円する。特殊米は5キロ9000円以上という驚きの価格。先月(4月)まで5キロ3200円だった山形鶴岡の生産農家は直販をやめてしまった。ことし(令和7年産)の新米も直販しない。
メディアの言う米価(新米)平均価格は4280円云々だが、ブランド新米も含まれているのかどうか疑わしい。ろくに検証もせず、ブランド新米を除く米価発表を鵜呑みにし報道しているのではないだろうか。
仲介業者が生産農家から高値で令和7年産の新米を買い取る(新米は収穫前に値付けされているらしい)と、小売価格はブランド米で7000円前後かもしれない。ブランド米でなくても6000円前後。高騰はチャイニーズまがいの仲介業者が暴利を貪るからだ。歯止めをかけるなら早いほうがいい。江藤みたいに悠長なことを言っていると米5キロ10000円時代がやって来る。
備蓄米の放出が終われば輸入米の枠を広げる。令和6年産の米を農家から買い付け、倉庫に隠している仲介業者が大手小売店に売ろうとしても、卸値が高すぎて、小売値にはね返るのを嫌う大手小売店は買わない。仲介業者の直販は価格が高く、消費者の拒否反応もあって難しい。そうなれば仲介業者は米の価格を下げざるを得なくなる。それが小泉氏の描いた筋書き。
小生も20年前までは江藤と同じだった。米を買ったことはなかった。神戸市北区にある農家で米作りをする高齢女性が20キロ入り大袋の新米(精米ずみ)を年2度送ってくれた。
私たち夫婦は勤務先の関係で自宅での食事は毎月2週間程度。20キロあれば半年から7ヶ月もつ。2回目の米が送られるとき1回目の米が残っている。そういうくり返しで、残った新米は古米となる。
江藤のトンマ発言についてモト冬樹が言ったのは、「江藤大臣の主食は無銭米、ブランドはナナヒカリ」。
古米は新米と較べてほとんど遜色はない。古古米はわからない、古古古米はさらにわからない。おそらく甘み、ねばりがなくなるのではなかろうか。小泉氏はそういう話を聞いていただろうけれど、自分でも試食した。小泉氏が古古米の価格を2000円としたのは、消費者の選択肢に幅を持たせたかったからと思える。
小泉米は7月の参院選の選挙対策だと言う者もいる。人気取りだと言うならそれでよいではないか。投票結果に結びつくとしても、それはそれ、国民の決断である。総じて小泉氏に拍手を送っても、自民党に拍手を送っているわけではない。自民党は江藤のような議員がはびこる土壌が重層化しており、旧弊議員を総入れかえしてもまたはびこる怖れがある。
兵庫県知事選挙で斉藤某に投票した愚かな者もいて、斉藤某は当選してしまったが、すぐボロが出るし、都道府県にはきちんと判断して投票する選挙民が多い。
国民より五十歩も百歩も後ろを歩くメディアは常に取り残される。ふだんはもたもたしているのに、ネタを拾うと先走り、短距離を爆走して転ぶ、それがメディアの実態。
生活実感を持ち、まっとうな意見を言うのはベテラン女性キャスター、そしてメディアに属し現在はフリーの中高年男性の一部。女性は兼業主婦が多く食料品の価格に敏感だ。
長年にわたってお米をくださった高齢女性は小生が企画したハイキングに何度も参加した。奈良公園&白毫寺、曽爾(そに)高原、葛城山、赤目四十八滝など。小生の母より高齢なのに健脚だった。
神戸市北区のご自宅を訪問し広い田んぼを拝見したとき、田植えに較べればハイキングで5里、6里歩くのは楽ですとおっしゃった。農業を断念した近隣農家の話は胸にこたえた。受け継ぐ子どもがいないからではなく、借金がかさんで田畑を手放す人の悲惨は筆舌につくしがたい。
お米は、当たり前だが新米のほうが美味。しかし大家族をかかえて、いや、4人家族でも米価の高騰で食費が不足する家庭もある。小泉氏は収入の少ない家庭のふところ具合を考慮し、古米以下の販売価格を安く設定した。大手小売店も迅速に動いた。量はまだ少ないとして、玄米を精米し、袋詰めして5月31日に備蓄米が店頭に並んだ。
専業農家でもなく、農政を司る人間でもないのに、将来の農政を見据えてどうたらこうたら言うのは、喉が渇いて水を飲みたいと言っている人に、熱中症になるといけないから帽子を買ってくださいと言うようなもの。特効薬の処方は容易ではなく、理屈で解決できることは少ない。
米価高騰でピリピリしたこともなく、生活に影響もない人間が備蓄米に関して口出しするのはお門違いもいいところ。彼らの発言はカラの缶詰のようなものだ。口出しするなら農家や仲介業者の実態をつぶさに観察し、消費者の意見も集約した上で、批判ではなく構想を述べるべきだ。代案を示さず批判だけなら誰にだってできる。
きょうよりあしたが良い日でありますように。
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