2022-03-09 Wednesday
薬剤への影響
 
 昨秋から市中のクリニックで処方される医薬品に変化が起き出した。消化薬がほとんどなくなって、在庫かぎりの薬局が増えている。在庫が終わればそれまでらしい。
高血圧、糖尿病など基礎疾患の薬は問題ないが、消化薬は重篤な疾病の治療薬ではく、製薬会社の生産ラインから消化薬をはずしていると薬局の担当者が言っていた。どうしても必要な人は市販のものを購入するしかないという。コロナはそういうところにまで影響している。
 
 毎月1度通院している消化器系クリニックの医師が言うには、そういう傾向は数年続くとか。昨冬、毎月通院している腎臓・高血圧専門のクリニックの医師にも受診のさい尋ねたら、隣にある薬局に連絡してくれた。消化薬の在庫はなく、今後の見通しも立たないそうだ。
 
 きょう(3月9日)消化系クリニックで受診したら医師曰く、ウクライナの戦争で陸海空の輸送ルートが寸断、もしくは遮断され、農産物だけでなく、医薬品の原料も入りにくくなっているらしい。空路はモスクワ経由が使えず、北回りが南回りに迂回しなけれならず、便数が大幅に減り、路線を航空会社が南回りを奪い合い、空路が混乱している。
 
 そのせいで薬剤の成分輸送が滞っている。特にぜんそくの薬、効きめの強い睡眠導入剤の製造ができなくなりつつある。患者にとって大変な事態。処方する薬がなければ医者として万全な役割を果たせなくなる。
 
 そういう事態であれば観光客のための定期便を減らすとか、各国がチャーター便を増やすとかの対策を練るということもある。薬剤成分はそれまでの国からの輸入を別の国へシフトするという方法もあるだろう。
 
 しかし問題はそういうことだけではないと思う。ウクライナからポーランドなどへ逃れてきた女性や子どものなかで重い病気にかかっている人や、ミサイル攻撃されたハルコフほかの町、激しい市街戦になるかもしれないキエフにとどまっている人たちの医薬品と医師を送り込むことが最重要。国際赤十字社がすでに動いているし、民間からの救いの手も増えつつある。志願を申し出る勇敢な医師、看護士はいる。
 
 まずは難民や戦災被害者の分を確保し、同時に各国の薬剤製造成分をしっかりととのえることが必須。製薬会社は利益度外視で取り組んでもらいたい。できないとなれば政府が面倒をみるしかない。補填分は回り回って国民が支払うことになるけれど、それは当然。
 
 天然資源をロシアに頼るドイツがどうするのか。各党混在の編成政府だから議論百出かもしれない。メルケル氏のようなすぐれた指導者がいないのでしかたない。
日本はどうか。厚労省役人や官僚上がりの首相秘書官の理屈は聞くだけ時間のムダ。行動力の乏しい彼らは理屈さえ通れば道理はどうでもいいと考えている。エリートは自分のことだけ考え、同類の気持ちしかわからない。コロナ騒動の対応の遅さ、不明瞭さをみれば明瞭。

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